大正噴火から105年 桜島大規模噴火への備え
大正3年=1914年の1月12日に桜島の大正噴火が発生してあさって12日で105年です。
桜島の防災について考えます。
現在の桜島の活動状況や大規模噴火への備えなど京都大学火山活動センターの井口正人教授に聞きました。
桜島の去年1年間の爆発回数は246回。3年ぶりに爆発が100回を越えました。
去年爆発したのはすべて南岳で、昭和火口はおととし11月以降爆発していません。
桜島の監視を続けている京都大学火山活動センターの井口正人教授です。
南岳に爆発が移行したのは、火口の下、およそ2キロで分岐している昭和火口と南岳に通じる火道=マグマの通り道のうち、昭和火口の火道がふさがったためではないかとみています。
「昭和火口の活動が急激に衰えたのが2017年11月ごろ。おそらく昭和火口のほうが火道が細いので詰まるときは詰まり易い。だから南岳に戻ったのだと思う」
南岳は1970年代から2000年代にかけて爆発を繰り返し、ドカ灰と呼ばれる大量の火山灰を降らせましたが、井口教授は今は活動が比較的落ち着いていて、
いますぐ当時のような状況になることは考えにくいと話します。
「マグマの量で言えば昭和火口における低い量をそのまま南岳にもってきてるようなものなので1980年代の活発な活動ではない。そういう段階にあればそれなりの予兆があるだろう」
ただ、桜島にマグマを供給していると考えられる鹿児島湾の奥・姶良カルデラではマグマの蓄積量が、大正噴火前のレベルまで戻りつつあるとして、大規模噴火への警戒を強めています。
105年前の1914年1月12日に始まった20世紀国内最大の噴火、桜島の大正噴火。
火山灰や溶岩などの噴出量はおよそ30億トンで、桜島で最近起きている噴火と比べ、10万倍規模になります。
噴火開始からおよそ8時間後に起きたマグニチュード7.1の地震による被害も含め、58人の死者が出ました。
一方、大正噴火の前、1779年から80年にかけての安永噴火では、マグマの上昇による海底の隆起で津波が発生し、153人の犠牲者が出ました。
安永噴火と大正噴火の間隔が135年。
井口教授は姶良カルデラへのマグマの供給量が変わっていないと仮定した場合、大正噴火から135年後となる2049年までに大正噴火級の大規模噴火が起こるおそれもあると考えています。
(井口教授)
「マグマの蓄積量からみた予測、歴史的にみた予測では(大正級の噴火)が10、20、30年後で起こるというふうに考える。未来の世代に先送りできる問題ではない。
今の世代の問題として解決しなければならない」
現在、桜島の人口はおよそ4000人。
鹿児島市の防災計画では大規模噴火の危険性が高まれば、桜島の住民を事前に鹿児島市街地側や大隅半島などに避難させるとしています。
そのため井口教授は、大規模噴火の前兆をきちんと解析し、避難の判断につなげることができるかが、カギになるとはなします。
「今の高感度観測では異常現象は必ずつかまる。異常現象をつかまえることは予知ではない。判断する能力が問われる。事前避難は必ずやりとげなければいけない」
先月、インドネシアでは、火山の噴火に伴う津波が発生。
噴火で山が崩れる「山体崩壊」によって土砂が海に崩れ落ちたことが原因と見られています。
井口教授は「インドネシアの災害では、急成長した火山で山肌がもろかったために『山体崩壊』が起きたが、桜島ではその危険性は低く、大規模噴火で警戒すべきは噴出物」だと指摘します。
「軽石が火口の周りに降り積もって成長した火山。そういう互層が不安定さをうんだ。桜島は大正噴火と高さは変わっていない」(桜島で)考える必要ない」
「火山灰軽石をいかにしのぎ切るかが最大の問題」
さらに市街地に噴出物が降った場合は、都市機能の麻痺など、105年前と比べ物にならない大きな混乱が生じるおそれもあると指摘します。
「あと30年で大規模噴火が起こりますといってもだれも見向きもしない。スーパーから食料品がなくなるといわないとわからない。普段の防災対策と同じで非常用の食料を持っておくことが大事」
いずれ起こる大規模噴火にどう備えるのか?より現実的な問題として認識し、備えていく必要があります。
明日は鹿児島市の対策についてです。