2021年にかける!(1)岡澤セオン選手(ボクシング)

2021年1月4日で、東京オリンピック開幕まで200日となりました。
コロナ禍での開催に向けて様々な課題はありますが、出場を目指すアスリートは大会があると信じて、練習に取り組んでいます。そんな「2021年」にかけるアスリートに迫るシリーズです。

第1回:岡澤セオン選手(ボクシング・ウェルター級・東京オリンピック日本代表内定)

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山形県出身で、大学卒業後にかごしま国体での活躍を目指し鹿屋市に拠点を移した岡澤セオン選手(県体育協会所属/山形県出身)。2020年3月には「アジア・オセアニア大陸予選」を勝ち抜き、東京五輪の日本代表にも内定しましたが、東京五輪・かごしま国体は新型コロナウイルス感染拡大の影響で延期に。さらに、2020年7月の九州豪雨では練習拠点のジムが浸水被害に遭い、一時トレーニングが出来なくなるなど、浮き沈みの激しい1年を過ごしました。

(2020年7月の豪雨の後片付けをする岡澤選手)

この時のことを振り返り、岡澤選手は「九州豪雨があるまで、実際に自分たちがやろうとしていることは「自己満足なのでは?」と思うこともありました。ましてコロナ禍でスポーツの「意味」が問われている感じがしています。その中でジムの復旧などに支援を受けて、全国の色々な方が自分の金メダルを待っててくれている…ボクシングを見てくれているのを感じ、つらい出来事ではありましたが、いまはプラスに変えて頑張れています。」と話してくれました。

さらに、コロナ禍ではミット打ちやスパーリングなど「対人練習」が出来ない時期も。
アスリートとして苦しい期間には地道な努力を続けてきました。

(「休みたくなるときもありますよ」とも話す筋力トレーニング)

「つねに強いパンチを打つために体を安定させる必要があり、体幹や下半身の筋力トレーニング、この2つを重点的にやって来た。その成果がすごく出ている。まだ上っている途中…、良くなっている途中なので、どこまで行けるのか自分でも楽しみです。さらに体を強化して、試合に向けてはボクシングの「技術」の部分にも落とし込んでいきたいです。東京オリンピックが始まるまでには理想の状態に間に合わせたい。」と岡澤選手。

ただ、五輪開催までの道のり…
例えば、事前に実戦形式の大会が行われるかどうかも、はっきりとしない状態が続いています。

この点について岡澤選手に聞くと…

「ずっと地方で、練習相手も少ない中でやっている自分の方がそういう状況には慣れていると思うので有利なのかな?」

(2020年12月末に鹿屋市のジムでインタビュー)

「普通は、ハンディキャップとも言われる部分ですが?」

「確かにそうですが、実戦練習が無いぶん、普段から頭の中で強い相手をイメージして練習するので、実際に対峙したときにイメージしていたより弱く感じることもある。実際に自分が鹿屋に来た頃は同じような状況になって、その後に実際にタイトルを取った経験もあるので。」と笑顔で答えが。

鹿屋で練習するからこそ、逆境も力に変えることができるようになったそうです。

この正月の間も練習を続け、五輪イヤーに向けて思いを新たにしています。

「オリンピックまでは、金メダルだけを目指して取り組む半年になる。東京オリンピックは、いままで支えて下さった鹿屋の皆さんや、全国の皆さんに恩返しをする舞台だと思っているので、必ず恩返しが出来るように頑張りたいです。」

今後の予定が不透明な状態は続いていますが、岡澤選手は1月中旬まで自主トレを行い、その後、日本代表合宿に入る予定になっています。

取材をしている中で印象的だったのは、2020年の苦しい時期を乗り越えて、ボクシングに向き合う姿勢がより強くなった岡澤選手の姿です。
練習ができない時期…アスリートにとっては厳しい時期も、アップダウンはありながらモチベーションを保ち、地道な筋力トレーニング続け、その結果手に入れた「フィジカル」が2021年の活躍の原動力となりそうです。

目線の先には、東京オリンピックで戦う各国のライバルと、金メダルが見えています。

取材報告:松木圭介

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