雪をも溶かす、熱い走りに・・・。

(京都市の三条大橋のそばに立つ「駅伝発祥の地」を伝える石碑)

日本で、駅伝が初めて行われてから100年の節目となった今年。
駅伝発祥の地・京都市で行われた「都道府県対抗女子駅伝」は、雪の舞うなかでのレースになりましたが、鹿児島チームは、これからに繋がる走りを見せてくれました。

(開会式を前に「きばっど~!」と声を上げた鹿児島チーム)

今年は、リオ五輪に出場した上原美幸キャプテンを筆頭に、中学生から社会人まで「伸び盛り」のメンバーが揃った鹿児島チームは8位入賞を目指していました。

レース前夜に行われたミーティングで、出走が決まった選手が1区から順に決意を語るなか・・・中学生選手は初出走の喜びと不安で涙をこぼしました。

チームメイトは、その様子を温かい眼差しで見つめ、涙声の決意表明には温かい拍手を送りました。
そして最後に、アンカーを任された上原キャプテンが一言。

「中学生の涙を見て、この大会に初めて出たときの純粋な気持ちを思い出しました。 どんな順位で来ても、私はゴボウ抜きするつもりで走りますので明日はみんなで力を合わせて頑張りましょう。」

ミーティング会場に優しく響いた拍手は、鹿児島チームの「心」を一つにしました。

レース当日は雪の舞う朝となりましたが、予定通りレースはスタート。

9区間42.195キロで争われたレース。
1区を任された髙木結加選手(福岡大3年/鶴翔高校出身)は、いまの力を出し切り、イメージに近い位置でタスキを繋ぎました。
2区では、池満綾乃選手(鹿児島銀行/鹿児島情報高校出身)が区間7位の走りで、順位を23位から17位に押し上げ、前夜、涙を流した田崎中2年の原田まりん選手にタスキを繋ぎます。
その原田選手は区間4位の力走を見せ10人抜き。
全国の舞台で、姉・まつり選手とのタスキリレーを果たしました。

(第3中継所での原田姉妹のタスキリレー)

4区では、樟南高校1年の原田まつり選手が3人を抜き、鹿児島チームは入賞圏内の7位に浮上しました。

しかし、時折吹雪となるなど厳しい天候のなか、5区以降は苦しんだ鹿児島チーム。順位を落としながらも、前との秒差を最小限に食い止める、粘りの走りを見せます。
そして、第8中継所で待っていたのはキャプテンの上原美幸選手。

(第8中継所での塩福選手から上原選手へのタスキ渡し)

前夜、初出走の嬉しさと不安から涙を流した隼人中3年の塩福莉音選手の目に映ったのは・・・

「オーラがあった。」と話す、上原選手の笑顔。

チームの思いがこもったタスキを受け取った上原選手は、1人を抜きチームを11位に押し上げフィニッシュ。鹿児島は去年より2つ順位を上げました。

レース後、上原キャプテンは、

「鹿児島の皆さんに、8位入賞の可能性を期待させるレースはできたと思います。入賞できなかったのは残念ですが、11位でも良いレースだったと思います。」と、チームメイトへの思いや、ふるさとへの思いがこもったタスキを繋いだことに充実感を滲ませました。

現場で取材していて改めて感じたのは・・・、タスキに込められる「思い」の大切さ。

前夜のミーティングで「思い」が1つになっていなければ、11位という結果すら掴めなかったでしょうし、今回のこの思いが「次に」繋がるには「熱量」が足りなかったのではないかと、いま思います。

鹿児島の女性ランナーが繋いだタスキに、応援する鹿児島の皆さんと同じように、私も胸が熱くなりました。

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