薩摩の教え

郷中教育42

今週も薩摩の青少年教育「郷中教育」についてご紹介しています。
郷中の組織は、年齢別に「小稚児こちご」、「長稚児おせちご」、「二才にせ」、「長老おせんし」に分けられます。
先週に引き続き、6・7才から10才までの小稚児の遊び「馬追い」をご紹介します。

 

島津藩時代、鶴丸城下・吉野の原で行われていた「馬追い」が、現代でも『おろごめ』として伝承されています。
「おろごめ」とは、二才馬にさいばを「おろ(苙)」と呼ばれる谷に「追い込む」ものです。

現代の「おろごめ」は、五月節供、或いは半夏生はんげしょうの頃に、指宿・金峰・垂水・姶良・出水といった県内各地で行われています。
ここでは、垂水市の柊原くぬぎばる地区で行われている「おろごめ」をご紹介しましょう。

 

子供達は、祭りの前日に海岸に集り「オロ」を造ります。
昔は、山の上に「オロ」を造っていたそうですが、現在は、砂浜に縦横4メートル、深さ1.5メートルの穴を掘り、1ヶ所だけ出口を開けておきます。

祭り当日の朝、山の神様にお参りし下山すると、子供達は全員、褌姿ふんどしすがたになり、砂浜に掘った「オロ」に入ります。
小学5年生以下の小頭こがしらを、6年生の親頭おやがしらが掴まえ、開けておいた出口から外へ引きずり出します。
一度、外に出された小頭は、二度と「オロ」の中に入ることは出来ません。
一方、小頭達は、そうはさせまいと親頭に抵抗。激しい争いになります。
こんな争いを二、三度繰り返しているうちに、東の空が白み始め、祭りは終わります。

 

薩摩は、馬の名産地と呼ばれただけあって、このような馬に関する年中行事は、県内の至る所で受け継がれています。

では、今日も、鹿児島のこの言葉でお別れしましょう。また明日。毎日めにっごわんそ!

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