薩摩の教え

西郷南洲遺訓 第18条「政府が果たすべき役割」

明治維新から150年の今年、維新の力を生んだ「薩摩の教え」を改めて皆さんと共に学んでいるこの番組。今週も、西郷さんが遺した教え、「西郷南洲遺訓」から紹介しています。

今日は、第18条「政府が果たすべき役割」についてです。


外国から国の名誉をけがされるようなことがあったら、
「国が倒れてもよい」というくらいの覚悟で、
道理を守り、正義を貫くのが、政府の責任である。

それなのに、普段、金銭、農政、財政のことを議論するのを聞いていると、
「なんという英雄、豪傑であろうか」と思われるような人物が、
実際に血の流れるような事態に臨むと、皆で頭を寄せ集め、こそこそと話し、
ほんの目先の気休め、安全を確保することしか考えず、
その場をしのぐことに懸命になるばかりである。

いくさ」の一字を恐れるがあまり、政府の責務を果たすこともなく、
国の名誉をおとしめるようなことがあったなら、
これはもう「商法支配所」すなわち、
経済を監督する役所、とでも言うくらいの存在でしかなく、
とても「政府」などと呼べるものではない。


昨日ご紹介した第17条のように、有事の際の外交交渉について論じています。
しかし、この言葉は、西郷さんのことを誤解させる方向でのちのち働いていたようです。

というのも、西郷さんは「戦を恐れるあまり、政府の本分を果たさないこと」を批判し、「ことなかれ主義」を非難しているわけで、「戦争そのものを仕掛けろ」とは言っていません。

征韓論でもそうでした。遣韓論として、西郷さん自身が朝鮮へ行って交渉すると主張しており、必ずしも軍隊を派遣しようとしていたわけではありません。

結局、西郷さんは誤解されたまま西南戦争で亡くなってしまいましたが、もし朝鮮へ政府の使節として交渉に当たっていたら、歴史はどう変わっていたんでしょうね?

明日は、西郷南洲遺訓・第19条をお送りします。

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