薩摩の教え

西郷南洲遺訓 第4条「何事にも私心を持ってはならない」

明治維新から150年の今年、維新の力を生んだ「薩摩の教え」を改めて皆さんと共に学んでいるこの番組。今週から『西郷南洲遺訓』の中身をご紹介しています。

今日は第4条「何事にも私心を持ってはならない」という教えです。


人の上に立つ者は、いつも身を慎み、品行を正しくし、驕らずえらそうな態度をせず、節約に努め、それぞれの仕事に一生懸命励んで、国民の手本となるべきだ。

加えて、その仕事ぶりや生活ぶりを、納税する国民が、「あんなに身を粉にして働いて・・・」と、気の毒に思うくらいでなければ、施策や政府の命令はスムーズには行われないものだ。

ところが明治政府の高官たちはどうだろうか。

維新創業のはじめというのに、立派な家を建て、高価な衣服を着て、美しい女性を愛人にし、自分の財産を殖やす事ばかりを考えている。

これでは明治維新の本来の目的を遂げることはできないであろう。

今となっては、戊辰の戦いも、ただ私利私欲を満たすためだったと批判され、世の中に対して、また、戦没者に対しても、本当に面目ないことである。


最後に「面目ない」という言葉がありますが、この第4条には西郷さんの感情が強くこもっているように感じますね。命がけで明治維新を成し遂げた西郷さんだからこそ、腐敗・堕落していく政府高官たちに向けて批判の気持ちを持っていたんですね。

以前ご紹介した第1条に、「上に立つものは政治を行ううえで、私利私欲を出してはいけない」とありましたが、指導者の資質や自己犠牲の精神の重要性というのは、こういったことから来ているのかなと私は感じました。

来週は、西郷南洲遺訓・第5条以降をお送りします。

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