薩摩の教え

郷中教育25

今週も薩摩の青少年教育「郷中教育」についてご紹介しています。

先週からお伝えしていますように、薩摩の朝鮮の役出征に伴い、鶴丸城下の風紀は大いに乱れ、留守居役の新納忠元にいろただもとは、心を痛めます。

そこで、自分が少年時代に日新公じっしんこうを中心として催された組織『はなし』にならって、新たな組織『二才咄にせばなし』を作ります。そして忠元ただもとは、その組織に属する若侍が日頃守らなければならないルールを『二才咄格式定目にせばなしかくしきじょうもく』と定めました。

 

その中で薩摩のことわざとして、この言葉をご存知でしょうか?

「山坂の達者は心懸くべきこと」

これは、「男子たる者は、険しい山道や坂道も達者に越えられる、たくましい足腰を鍛えておかなければいけない。その為には、普段から身体の訓練をしておき、いざと言う場合に備えておくべきである」
という意味です。

 

この山坂達者は、現在でも見ることが出来ます。
それは秋、柿の実が紅く色づくころに行われる「妙円寺詣り」です。

慶長5年、関ヶ原の戦いにちなみ、妙円寺跡の徳重神社までのおよそ20キロの道のりを歩いて参拝する伝統行事です。昔は、往復40キロの道のりを鎧・兜に身を固め、夜を徹して歩いていたので、足腰が鍛えられていなければできないことでした。

鹿児島にはこの妙円寺詣りの他に、現在の鹿児島市吉野町の心岳寺しんがくじ詣り、加世田詣りなどの参詣行事がありました。
背景には、神社が建設されている地方の二才衆、つまりその地方の郷中と親睦を深めるという重要な意味があったようです。
詳しくは、それぞれの神社詣りの日にご紹介する予定です。

では、今日も、鹿児島のこの言葉でお別れしましょう。また来週。毎日めにっごわんそ!

郷中教育24前のページ

郷中教育26次のページ

関連記事

  1. 薩摩の教え

    せごどんの遠行③

    今週は「せごどんの遠行」の模様をお届けしています。参加…

  2. 薩摩の教え

    郷中教育の歴史~島津義秀さんのお話①

    明治維新から150年の今年、維新の力を生んだ「薩摩の教え」を改めて皆さ…

  3. いろは歌

    島津日新斉の生い立ち その2

    昨日から“いろは歌”を創った、島津日新斉じっしんさいの生い立ちをご紹介…

  4. 夏休みこども企画

    夏休みこども企画「ぼくの郷中教育」②

    夏休みこども企画ということで、子供たちの元気な声をお届けしてきた1か月…

  5. 薩摩の教え

    郷中教育32

    今週も薩摩の青少年教育「郷中教育」についてご紹介しています。郷中の…

  6. 薩摩の教え

    郷中教育19

    今週も薩摩の青少年教育「郷中教育」についてご紹介しています。先週か…

PAGE TOP