厨房の画家が描く食材 「香月泰男 画家の食卓」

毎週金曜日にご紹介する県外のお出かけ情報。

山口県長門市にある「香月泰男美術館」で3月26日(月)まで開催されている

『香月泰男 画家の食卓』について学芸員の丸尾いとさんにうかがった。

 

 

香月泰男は、1911年に、山口県長門市に生まれた。

小学生の頃から画家になることを志し、東京美術学校(現在の東京芸術大学)に進学。

鹿児島出身の藤島武二先生の教室で学び、在学中から様々な賞を受賞した。

 

しかし、画家としてこれからというときに戦争に召集、

満州(現在の中国東北部のハイラル)に配属される。

満州から家族あての絵を描いたハガキは360通を超え、

現在は『ハイラル通信』と呼ばれている。

 

終戦後、約2年半シベリアに抑留

復員してからは故郷で、代表作の『シベリア・シリーズ』や風景・家族・動植物などを描き、

昭和49年62歳で生涯を閉じた。

 

香月作品は、年代によって色使いが変わる。

戦前から終戦直後は落ち着いた色調、シベリア抑留生活の記憶を描いた作品は

全体的に黒色が多く暗い色調、

1960年代から徐々に色が戻り、晩年には黒をほとんど使っていない。

 

「シベリア・シリーズ」からは、戦争の悲惨さや人々の悲しみを感じ取ることができ、

そこに香月の『平和への祈り』が込められている

 

展覧会『画家の食卓』は、香月が描いた「食材」の作品、約80点が展示されている。

香月は「厨房の画家」の異名をとるほど、多くの食材を描いた。

ゴッホ風のタッチで“蟹”を描いた『ゴッホ風生物』や、

自身の家庭菜園で採れたての青いトマトと、かたまりのままのハムを描いた『ハムとトマト』、

ぽってりと丸い大根を描いた『大根』など、

その時代の家庭の台所を思い描ける素朴な作品が並ぶ。

 

故郷を離れ、戦争を体験し、辛い経験をしたからこそ描いた「食材」は、

まさに“生きるためめの食”であり、平和への祈り、

普通の日常と食卓への感謝ではないだろうか。

 

 

 

開館時間:9時~17時  休館日:毎週火曜日

観覧料:一般500円、小・中・高校生:200円、未就学児:無料

問い合わせ:0837-43-2500(香月泰男美術館)

 

※長門市には、パワースポット「元乃隅稲荷神社」や「金子みすゞ記念館」も

 

2月2日11時40分ごろ放送「たんぽぽ倶楽部」 たんぽぽお出かけ隊 より

関連記事一覧