雨期防災① 新たに運用「大雨警戒レベル」

ニューズナウではシリーズで「雨期の防災」についてお伝えします。
シリーズ1回目は新たに始まる「大雨警戒レベル」についてです。


こちらは内閣府が示した大雨への警戒度についてのレベル表です。

警戒レベル3であれば「高齢者などは避難」、4は「避難」、5は「命を守る最善の行動」とレベルごとに住民が取るべき行動が示されています。

初めて目にするという方もいらっしゃると思いますが、
気象庁や一部の自治体では、今週にもこのレベル表に基づいて避難に関する情報を出すことにしています。導入の背景や課題など下山記者の報告です。

 

去年6月から7月にかけて発生した西日本豪雨。200人以上が犠牲となりました。
県内でも7月7日、桜島・古里町で土砂崩れが発生。

(119番通報した住民)
「音がパリパリすると言っていたら崩れてきた。家が2階建てだったが道路まで押しやられた」

集落の裏山が高さ40メートル幅20メートルにわたって崩れ住宅を直撃し、80代の夫婦が亡くなりました。

当時、鹿児島市には土砂災害警戒情報と大雨洪水警報がだされていました。

鹿児島市も市内全域に避難準備の情報を出し、高齢者や体の不自由な人は、避難を始めるよう呼びかけていた中で、2人が死亡し、気象庁や自治体の出す情報が実際の避難行動に必ずしも結びつかないという課題が残されました。

同じ課題は西日本豪雨でも。画面に示されているのは去年の西日本豪雨で、広島県に発表された情報です。

大雨特別警報や土砂災害警戒情報、河川の氾濫危険情報のほか市町村が出す避難勧告や避難指示。
多くの防災情報が発表されましたが、国の資料では、西日本豪雨の被災者のうち73パーセントが、避難行動を取らなかったというデータもあります。

 

「防災情報を的確な避難行動につなげて欲しい」
西日本豪雨の教訓を背景に運用されるのが大雨警戒レベルです。

数字が大きいほど危険度は高くなり、レベル2は「避難行動の確認」、レベル3は「高齢者などは避難」、レベル4は「避難」など住民が取るべき行動を表しています。

例えば土砂災害警戒情報が発表された場合「警戒レベル4相当」、大雨警報の場合は「警戒レベル3相当」などと気象台の発表文には、警戒レベルもあわせて発表される見通しです。

(鹿児島地方気象台長友勝弘気象情報官)「数字で一目で分かるので避難行動に生かして欲しい」

一方、気象台からの情報をもとに避難についての情報を発表するのは市町村です。

高齢者や子どもなど避難に時間がかかる人に対する「高齢者等避難開始」、安全のため、早めの避難を呼びかける「避難勧告」、著しい危険が切迫している時にすみやかな避難をうながす「避難指示」があります。

今回の大雨のレベル化で、実際に避難の情報を発表する自治体の中には、かえって混乱を招くのではと危惧する担当者もいます。

たとえば、大雨警戒レベルの表ではレベル3で「高齢者等避難開始」。レベル4には「避難勧告」とより緊急度の高い「避難指示」が一緒に入っています。同じレベル4でも切迫度に違いがあるのです。

(鹿児島市危機管理課中豊司課長)
「レベル4で避難勧告か避難指示か中身を聞き分けて行動しなければならないので、住民の的確な避難行動につながるか不安。混乱起こさせないように伝え方を模索しながらの運用になる」

大雨警戒レベルが導入されれば、大雨の際に防災無線やホームページなどで避難情報とともに警戒レベルも伝えることになりますが、
具体的な運用方法は各市町村にゆだねられています。

県内の主な自治体では鹿児島市と霧島市が、今週にも運用開始。
薩摩川内市や奄美市はレベル化を採用するかも含めて現在、検討中としていて、市町村によって対応にばらつきがあるのが現状です。

(中課長)
「自分の周りの状況は自分が一番良く分かっていると思う。的確に早く避難情報出すので適切な行動をとってほしい」

大雨や避難に関する情報が出された際、命を守るためにどう避難行動に移すかは、最終的には、私たち一人ひとりにゆだねられています。
いざというときに自分の住んでいる自治体がどういった情報を出すのか?
それを確認したうえで、日ごろから避難についてイメージしておくことが重要です。

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