
■講評 中道 疾風 先生(昨年のチャンピオン)
「暑き」という題はむつかしかったようで、同じような句がたくさんありました。「ぬくい」というのを悪者にしたような句が多かったようです。取った句は、面白そうな句を取りました。
■入選
気力が切れ 蚊も翔ばならん 暑き夏日 【久本 樟脳山】
(あやがきれ かもとばならん ぬきなつび)
着物が無で 暑き夏が良か 我家ん婆 【櫨山 一球】
(いしょがねで ぬきなっがよか やどんばば)
滝の汗 デパ地下け入込だ 爺と婆 【堀 三余】
(たっのあせ デパちけへくだ じじとばば)
こん暑せ 女房も覚えた 生ビール 【柳村 遊月】
(こんぬっせ かかもおぼえた なまビール)
また今日も 暑きち帰れば 冷や素麺 【前田 一天】
(またきょうも ぬきちもどれば ひやぞめん)
暑き夏が 押っ込で短け 春と秋 【保久上 勝手耳】
(ぬきなっが せっくでみしけ はいとあっ)
暑き中を ミャクミャく頑張っ 赤字じゃ無し 【松下 ジャンボ】
(ぬきなかを ミャクミャくきばっ あかじゃのし)
兵児一枚 脱でん変らん こん暑っさ 【牧元 一丁目】
(へこいっめ ぬでんかわらん こんぬっさ)
無理ゆさすっ 暑きち地球が 叫っ出っ 【今村 山姥】
(むゆさすっ ぬきちちきゅうが おろっでっ)
側べ寄った 女房ん吐息で 暑きも暑き 【松尾 酔石】
(そべよった かかんといっで ぬきもぬき)
太鼓腹ん 皮も剥ごそな 酷で暑っさ 【濱川 白馬】
(てこばらん かわもはごそな ひでぬっさ)
こん暑っせ クーラー迄も 叫っでっ 【堀 子鶴】
(こんぬっせ クーラーずいも おらっでっ)
農業仕事 暑きとを頑張っ 豊作いなっ 【松崎 機関車】
(さっしごっ ぬきとをきばっ ほぜいなっ)
混んだバス 爺がせっくんで 暑っかこっ 【南谷 久瓜】
(こんだバス じがせっくんで ぬっかこっ)
暑き過ぎっ 台風ん奴も 道ちょ変えっ 【松崎 機関車】
(ぬきすぎっ うかぜんわろも みちょかえっ)
昼や暑きち 晩に散歩けば パトが来っ 【永井 手毬】
(ひやぬきち ばんにさるけば パトがきっ)
暑っさ払れ 冷えたビールい 土下座しっ 【松尾 酔石】
(ぬっさばれ ひえたビールい どげざしっ)
酷で暑っせ 化粧い込だ顔あ どろっなっ 【平澤 泰山】
(ひでぬっせ ぬいくだつらあ どろっなっ)
暑き晩な 団扇ん風が 頬を撫でっ 【上田 喜八郎】
(ぬきばんな うっぱんかぜが ふをなでっ)
一日中 挨拶ちゃ暑きなで け済ませっ 【田之上 セイブン】
(ひのひして えさちゃぬきなで けすませっ)
思めもせん お車代に 暑き懐 【牧元 一丁目】
(おめもせん おくるまだいに ぬきつくろ)
まこて暑き 唇がジョッキを 嘗め通えっ 【吉岡 道場】
(まこてぬき すばがジョッキを なめどえっ)
暑き暑きち 女房は我が家じゃ ビキになっ 【塩田 我流】
(ぬきぬきち かかはわがえじゃ ビキになっ)
暑っかろが ベタッひっ付た 初デート 【疋田 花枝】
(ぬっかろが ベタッひっちた はっデート)
暑き晩に 縁台で飲だや 蚊の餌食 【永谷 勝】
(ぬきばんに ばんこでぬだや かのはんめ)
■佳作五
水風呂い 西瓜と浸った 暑き日中 【久本 樟脳山】
(みっぶろい すかとつかった ぬきひなか)
■佳作四
暑きとこれ 長げ挨拶つすい 金バッジ 【櫨山 一球】
(ぬきとこれ なげえさつすい きんバッジ)
■佳作三
避難所ん 丸で修行ん 難儀え暑っ 【疋田 花枝】
(ひなんじょん まっでしゅぎょうん みごえぬっ)
■佳作二
暑きかろが 背広で可哀相し 外回い 【久木野 住鯨】
(ぬきかろが せびろでぐらし そとまわい)
■佳作一
暑っかどん ひん脱がならん 防護服 【前田 一天】
(ぬっかどん ひんぬがならん ぼうごふっ)
■準特選
こん暑せ 寝っ時きゃ裸 木強娘 【堀 子鶴】
(こんぬっせ ねっときゃはだか ぼっけおご)
■特選
暑っか言て 俺がステテコで 歩るっ婆 【濱川 白馬】
(ぬっかちゅて おがステテコで さるっばば)
■番外
始むれば 直き暑きなっ 寒稽古 【有村 秀祭】
(はいむれば いっきぬきなっ かんげいこ)
暑き最中け 阿修羅様よな 女房ん小言 【福冨 河童】
(ぬきさなけ あしゅらさんよな かかんぐぜ)
暑き言えば 夏じゃっがねち 叱い横ご 【猪俣 凡児】
(ぬきちゅえば なっじゃっがねち がいよんご)
■軸吟
氷屋が 暑き日が続ぢっ ニッ笑るっ 【中道 疾風】
(こおりやが ぬきひがつぢっ ニッわるっ)










