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「#5 聞き間違い」風の歳時記

「#5 聞き間違い」風の歳時記

ことのほか暑い日が続くと、束の間でいいから笑いで気分を一新したくなる。そういえば、このところ、思わず噴き出したり、お腹の皮がよじれるほど笑ったという記憶がないのだが、それでも、つい思い出して頬を緩めてしまう珍事はいくつか浮かぶ。

放送に商品名はご法度だが、この話だけは、商品抜きに語れないのでお許しを。ある企業の幹部と飲んだ時に、酔っ払いついでに聞いた話だ。

夏の暑い日、外出する後輩の若手社員に「暑いなぁ。喉が渇いたから、悪いけどママレモン買ってきてくれない?」と頼んだのだそうだ。ママレモンは台所用洗剤、この上司は清涼飲料水のキリンレモンと言うべきところを間違えてしまった。しばらくして、若手社員が帰ってきた。なんとその手には、本当に洗剤のママレモンをぶら下げていたというのだ。「喉が渇いて、洗剤を飲むわけがないだろ。アイツ、不思議に思わなかったのかねぇ」と頼んだ本人は唖然とした表情でボヤいていたことだった。

聞き間違いは誰でもあることだが、これは、ある歯医者での話。歯科衛生士のお姉さんから「口笛を吹いてください」と言われ、若い女性の患者さんは不思議に思いながらも口笛を吹いたのだそう。歯科衛生士のお姉さんはその様子を怪訝そうに見つめて、もう一度、ゆっくりと、患者さんに伝えたという。

「あのぉ、口紅を拭いて欲しいのですが」

こちらは、ある短大での話。講義が終わったあと、学生の一人が先生にレポートの提出期限を尋ねた。「先生、今日中ですか?」。

教壇で聞いていた先生いわく。「いや、教授じゃないよ。まだ助教授やねん」

娘の手の甲にプチっとした出来物が出来て、「ココ、カユイ…」という。お母さんは手足口病かもとすぐに病院に電話した。看護師さんから返ってきた言葉が「お子さん可愛がってますか?」。びっくりして「え~!めちゃくちゃ可愛がってます」と答えたのだが、よくよく聞いてみると、「お子様痒(かゆ)がってますか?」の聞き間違いだった。

 他人の聞き間違いを面白がって楽しむのも一服の涼ではあるけれど、誰だって、みんな、こんな間違いの一つや二つは経験している。

 「赤トンボ」の唄、「夕焼け小焼けの赤トンボ、負われて見たのはいつの日か」の「負われて」をオンブされてじゃなくて「追っかけられて、の、追われて」と思い込んでいたり、「ふるさと」の唄の「うさぎ追いしかの山」を「うさぎが美味しい、味が良い」と勘違いしていた、あ・な・た。

ひと昔まえに歌っていた小学校唱歌の文語調の歌詞は、確かに子供には難しく、全国津々浦々の児童たちの集団聞き間違い、勘違いを生んでいたような気がする。ある世代特有の国民的記憶遺産といってもいいんじゃないのかな。

MBCラジオ『風の歳時記』
テーマは四季折々の花や樹、天候、世相、人情、街、時間(今昔)など森羅万象。
鹿児島在住のエッセイスト伊織圭(いおりけい)が独自の目線で描いたストーリーを、MBCアナウンサー美坂理恵の朗読でご紹介します。
金曜朝のちょっと落ち着く時間、ラジオから流れてくるエッセイを聴いて、あなたも癒されてみませんか。

読み手:美坂 理恵/エッセイ:伊織 圭

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