■講評 濱川 白馬 先生(昨年のチャンピオン)
席題ですから、やはりどうしてもこの場で作るわけですから、本当に破調がものすごくたくさんありました。それで初めてでしたけれども「5・7・5」なんですけれども、「7・8・12」というのがありました。27文字でした、考えてみたら。すごいなぁ…と思ったら、その後に今度は29文字というのも出てきました。たぶん、同じ方だったんじゃないかと思うんですけれども、やはり狂句は「5・7・5」、そして指を折っていただいてですね、初心に返って作ってもらいたいと思いました。
それと席題「備え」、我家で考えてきた席題がいっちゃん当たらんかったというのがこれも結構ありました。それで、おもしろいのをとにかく取らさせていただきました。
基本的にやはり狂句はお笑い・ユーモアですから、そちらを優先して取らさせていただきました。ただ多かったのは、やはり「備え」ですから、「地震」とか「津波」とか「年金」とかそういうのもありましたが、それぞれいいと思うものを取らさせていただきました。
■入選
神棚ん そなえた団子を 孫が食っ 【中村 飛午】
(かんだなん そなえただごを まごがくっ)
子ん為い 備えた学資 詐欺ぎ嵌っ 【塩田 我流】
(こんためい そなえたがくし さぎうたっ)
年金じゃ 備えが難儀 おとし玉 【有川 ヒロシ】
(ねんきんじゃ そなえがのさん おとしだま)
突然来た 客きも備えち 婆が叱るっ 【堀 三余】
(ひょかっきた きゃきもそなえち ばがくるっ)
心配じゃっで 無事故ん備え 泣て返納 【川畑 光ちゃん】
(せわじゃっで むじこんそなえ ねてへんの)
値上すい 備えち沢山 米を買っ 【川畑 光ちゃん】
(ねあげすい そなえちずばっ こめをこっ)
席題ゆば 備えちょったて 全部駄目 【櫨山 一球】
(せきだゆば そなえちょったて ずるっぼっ)
氷河期に 備えっ妻は 脂肪ぼ貯めっ 【中村 竜神】
(ひょうがきに そなえっかかは しぼためっ)
肥えちょった 非常い備えた 肉言ゅ女房 【久木野 住鯨】
(こえちょった ひじょいそなえた にくちゅかか)
物価高け 備えっ爺の 一銭貯め 【前田 一天】
(ぶっかだけ そなえっじいの いっちゃだめ)
怖じ強盗て 竹刀ゆ備えっ 寝い爺様 【井之上 三ちゃん】
(おじごうて しなゆそなえっ ねいじさま)
子ん学資 備えた金で 亭主しゃ競馬 【柳村 遊月】
(こんがくひ そなえたぜんで てしゃけいば)
世界一 平和い備え 良か憲法 【津曲 とっこ】
(せかいいっ へいわいそなえ よかけんぽ)
こら困さん 備えた肴ね 蠅が食付っ 【平澤 泰山】
(こらのさん そなえたさかね へがくちっ)
蠅も用心 打たれん備え 手を擦っ 【時任 満天】
(へもよじん うたれんそなえ てをこすっ)
試供品ぬ 沢山備えた 女房ん化粧 【中道 疾風】
(しきょひんぬ ずばっそなえた かかんけしょ)
忘年会ん 飲んて備えっ 毎晩稽古 【大脇 若けばっばん】
(うっちゃげん のんてそなえっ めばんけこ)
薬ゆ塗っ 凄ぜ備えたが 禿げっきっ 【大重 爆笑】
(くすゆぬっ わぜそなえたが はげっきっ)
挨拶時 備えた紙ぬ け忘
れっ 【亀甲 万年】
(えさっどっ そなえたかんぬ けわすれっ)
昆布料理で 備え続じてん 抜くい髪 【田之上 セイブン】
(こっじゅいで そなえつじてん ぬくいかん)
女房ん旅行 三日前かあ 備え騒動 【上田 喜八郎】
(かかんたっ みっかまえかあ そなえそど)
免許更新 大事故が心配ち 高け保険 【久本 樟脳山】
(めんきょがえ うじこがせわち たけほけん)
離婚騒動 備えっ握っ 通帳と印鑑 【疋田 花枝】
(わかれそど そなえっにぎっ かえとはん)
百歳く越そち 備えっ貯むい 九十歳婆 【内野 茶柱】
(ひゃくこそち そなえったむい くんじゅばば)
年金で 備えっ嬉し フルムーン 【櫨山 一球】
(ねんきんで そなえっうれし フルムーン)
水食料 備えちょったて 期限切れ 【馬場 日登美】
(みずしょくりょ そなえちょったて きげんぎれ)
非常食く うっ食っしもた 酔くれ亭主 【村田 鹿の子】
(ひじょうしょく うっくっしもた えくれてし)
葬式用い 備えた預金が 最早貯まっ 【堀 子鶴】
(おんぼよい そなえたぜんが もへたまっ)
養毛剤ゆ 年中備ゆい 禿ん血統 【疋田 花枝】
(ようもざゆ ねんずそなゆい はげんすっ)
かつらをば 子供み備えた 禿ん血統 【永谷 勝】
(かつらをば こどみそなえた はげんすっ)
■佳作五
検診に 備えっ今日どま 休肝日 【今村 山姥】
(けんしんに そなえっきゅどま きゅうかんび)
■佳作四
仏様へ 花をそなゆい 嫁が来っ 【津曲 とっこ】
(ほとけさへ はなをそなゆい よめがきっ)
■佳作三
非常食く 余計備えっ 肴けしっ 【永谷 勝】
(ひじょうしょく じんじそなえっ しおけしっ)
■佳作二
身体と精神しゅ 両方ぼ備えち 五輪の書 【松下 ジャンボ】
(ごてとねしゅ まんぼそなえち ごりんのしょ)
■佳作一
備こた如っ 山芋ん穴ね 足す嵌めっ 【南谷 久瓜】
(しこたごっ やまいもんあね あすはめっ)
■準特選
婆ん備え 支柱や茄子び なんかかっ 【前田 一天】
(ばんそなえ つっぱやなすび なんかかっ)
■特選
苦情係い 美人ぬ備えた 狡じ役所 【中道 疾風】
(くじょがかい シャンぬそなえた えじやっしょ)
■番外
パワハラん 婆い備えた ヘルメット 【有村 秀祭】
(パワハラん ばばいそなえた ヘルメット)
厳し女房 毎晩準備ちょっ 非常食 【福冨 河童】
(いみしかか めばんしこちょっ ひじょうしょっ)
呆え頭 狂句会い備えっ 猛勉強 【猪俣 凡児】
(ぼえびんた くかいそなえっ もうべんきょ)
■軸吟
倦怠期 離婚れ備えっ やれ溜めっ 【濱川 白馬】
(けんたいき わかれそなえっ やれためっ)