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「#12 こだまでしょうか」風の歳時記

「#12 こだまでしょうか」風の歳時記

金子みすゞの詩集を読んでいる。

いまから13年余り前、あの東日本大震災の直後だった。テレビのスポンサーCMが急に消え、それにかわってACジャパンのキャンペーンスポットが次々に放送される。その頃、流れたのが彼女、金子みすゞの詩「こだまでしょうか」だった。 

 

「遊ぼう」っていうと  「遊ぼう」っていう。

「馬鹿」っていうと   「馬鹿」っていう。

「もう遊ばない」っていうと  「遊ばない」っていう。

そうして、あとで  さみしくなって、

「ごめんね」っていうと 「ごめんね」っていう。

こだまでしょうか、いいえ、誰でも。

公園だろうか。誰も乗っていないブランコが静かに揺れている。そんな光景をはさんで、無心に遊ぶ子どもたちと一人ぼっちの子供、そして、仲直りの表情がさりげなく映し出される。

大地を揺るがす地震に続いて、押し寄せる大津波、そして、福島第一原発事故…。

「何を信じたらいいのか途方に暮れる人たち」に、この1分間の映像は、言葉による人と人とのつながりの温もりを、穏やかに、優しく思い出させてくれたような気がしたものだった。

その金子みすゞさんの詩に「星とたんぽぽ」という作品がある。

青いお空のそこふかく、海の小石のそのように

夜がくるまでしずんでる、昼のお星はめにみえぬ。

見えぬけれどもあるんだよ、見えぬものでも あるんだよ。

金子さんがこの詩を詠んでしばらくして、およそ20年後にフランスの作家サン=テグジュペリは代表作「星の王子さま」でこう書いている。「ものごとはね、心で見なくてはよく見えない。いちばんたいせつなことは、目に見えないんだ」。

狐が王子さまに語りかけた言葉、有名なフレーズですね。

「昼間の星は見えないけれど、でも星はあるんだよ。見えないものでも確かにあるんだよ」と金子みすゞさんが詠ったのは1925年、いまから100年前のことだ。

時間と場所を超えて、「柔らかな心のまなざし」は言葉から言葉へと受け継がれていく。

テレビやラジオやネットの世界だけではない、そこここの街角でも、家庭でも、カフェでも居酒屋でも、にぎやかに、かしましく、言葉が次々に投げかけられては、投げ返され、消費されていく毎日。

そんな時代だからだからこそ、なんだろうな。「たいせつなものは、見えないんだよ」と呼びかける言葉はそのまま等身大で鮮やかに胸の奥に響いてくる。

あさっては秋のお彼岸の中日。 

MBCラジオ『風の歳時記』
テーマは四季折々の花や樹、天候、世相、人情、街、時間(今昔)など森羅万象。
鹿児島在住のエッセイスト伊織圭(いおりけい)が独自の目線で描いたストーリーを、MBCアナウンサー美坂理恵の朗読でご紹介します。
金曜朝のちょっと落ち着く時間、ラジオから流れてくるエッセイを聴いて、あなたも癒されてみませんか。

読み手:美坂 理恵/エッセイ:伊織 圭

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