今週MBCでは奄美スペシャルウィークを展開しています。先月ユネスコの世界遺産委員会は、「奄美大島、徳之島、沖縄島北部及び西表島」について、世界自然遺産への登録を正式に決定しました。国による推薦が一度は取り下げられるなど様々なことがあり、ようやく実現した世界自然遺産登録は、奄美の皆さんはもちろん、鹿児島の皆さんが嬉しい話題ですよね。きょうの山口プロモーションでは、豊かな生態系の奄美を含む、世界の魅力的な離島について紹介します。
奄美大島・徳之島(日本・鹿児島県)
奄美群島は、九州本土の南に点在するトカラ列島と沖縄諸島の間に連なる奄美大島、加計呂麻島、請島、与路島、喜界島、徳之島、沖永良部島、与論島の8つの有人島からなる島々で、亜熱帯の豊かな森や美しいサンゴ礁などが多くの人々を魅了しています。その奄美大島と徳之島は、アマミノクロウサギに代表される希少種を含む多様な生物が生息・生育していることが評価され、沖縄島北部、西表島とともに世界自然遺産に登録されました。日本の世界遺産は25件ありますが、ほとんどが文化遺産で自然遺産は屋久島、白神山地、知床、小笠原諸島の4件のみ。今回の「奄美大島、徳之島、沖縄島北部及び西表島」は、ようやく認められた5件目の自然遺産。鹿児島県には2件、いかに貴重な自然が残っているのかがわかりますね。
屋久島(日本・鹿児島県)
屋久島は、1993年白神山地とともに、日本で初めて世界自然遺産に登録されました。九州の最高峰 宮之浦岳をはじめとする高い山々がそびえ立っていることから「洋上のアルプス」とも言われています。世界的にも珍しい樹齢 数千年のヤクスギをはじめ、多くの固有種や絶滅の恐れのある動植物が生息・生育しており、海岸付近のガジュマル、アコウなどの亜熱帯植物から、シイ、カシなどの暖帯、モミ、ヤマグルマなどの温帯、ヤクザサ、シャクナゲの亜高山帯に及ぶ植生の垂直分布が顕著にみられ特異な生態系を構成しています。私も取材などで何度か訪れましたが、多くの人たちが暮らしていながら、その近くにすぐれた自然が残されている美しい島だと感じました。
ガラパゴス諸島(エクアドル)
日本から飛行機で乗り継ぎなどを含んでおよそ32時間の南米のエクアドルから西の太平洋 赤道下に散らばる島々は、1978年に世界で初めて世界遺産となった12か所のひとつです。面積およそ10キロ平方メートルを超える主要な13の島々と100以上の岩礁で構成されています。過去に一度も陸続きになったことがなく、ここにしか生息しない種も多くいることから、「動物たちの楽園」とも言われています。イギリスの生物学者チャールズ・ダーウィンが、「種の起源」を執筆する際に調査を行った場所でもありますね。体長およそ1-1.5m、体重およそ300㎏の世界最大級の陸ガメ ガラパゴスゾウガメ、体長1-1.5mのガラパゴスリクイグアナなどの「ガラパゴス」と名前のついた固有種が多く生息しています。
マダガスカル島(マダガスカル)
日本から飛行機で乗り継ぎなどを含んでおよそ25時間のマダガスカルはアフリカ南部にある島国です。世界で4番目に大きな島で面積およそ59万キロ平方メートル、日本のおよそ1.6倍、こちらもゴンドワナ大陸から分裂して以来、一度も大陸と地続きになったことがない島で「生物の宝庫」とも呼ばれています。マダガスカル島に生息する白と黒の縞の長いしっぽが特徴のワオキツネザルや2足歩行で横っ飛びするベローシファカなど動物のおよそ80%、そして小説「星の王子様」にも登場するバオバブは世界で確認されている8種のそのほとんどがマダガスカルだけ、また植物のおよそ90%が固有種なんだそうです。
スバールバル諸島(ノルウェー)
日本からは飛行機で乗り継ぎなどを含んでおよそ34時間、ノルウェーと北極点との中間に位置します。1000人以上が定住する地としては世界最北(北緯78度)の町「ロングイェールビーン」があり、町の中にある様々なものが世界最北の○○となります。北極点まではおよそ1000㎞、暖かい季節の6月~9月は平均最高気温5℃、寒い季節の11月~4月は平均最高気温は-6℃ほど。1 年で最も寒い2月は平均最低気温は-16℃、最高気温は-10℃、そして4月下旬~8月下旬は太陽が沈まない白夜、10月下旬~2月中旬は太陽が昇らない極夜ととても過酷な環境です。北極探検の基地としても長い歴史があり、またこの環境を利用して、植物の種子を保存する世界種子貯蔵庫が開設されています。貯蔵庫では気候変動や病気の蔓延などで農作物が絶滅しないよう、100万種以上の種子が保存されています。
きょうは、世界の魅力的な離島を紹介してきました。その土地ならではの自然環境、固有の動植物など離島の良さに溢れていました。いつか行ってみたいなと思いを馳せたり、また豊かな自然を次の世代へと残していこうと気持ちを新たにされた方もいらっしゃるのではないでしょうか。