「十五夜」は秋の美しい月を眺める日ですね。2021年の「十五夜」は9月21日です。
ススキを飾ったり、おだんごを食べたりもしますが、なぜ秋に、ススキを飾り、お餅を食べるのか、ご存じですか。きょうの山口プロモーションではまもなくやってくる「十五夜」についてお話していきます。
十五夜とは
月の満ち欠けはおよそ15日周期で新月から満月、新月へと繰り返されています。旧暦では新月を毎月1日、満月は15日としていました。この満月の15日の夜に見える月を「十五夜」といいます。つまり旧暦の1月から12月すべてに「十五夜」はあったということですね。
中秋の名月
旧暦の8月15日に出る月を「中秋の名月」とも言いますよね。日本文化を紹介している「日本文化いろは事典」によりますと、「中秋の名月」は”秋の真ん中に出る満月”という意味で、旧暦では1月~3月を春、4月~6月を夏、7月~9月を秋、10月~12月を冬としていたことから、8月は秋のちょうどまんなかであり、8月15日の夜に出る満月ということで、こう呼ばれるようになったそうです。また秋は、空が澄みわたり最も月が美しく見えるため、この時期に平安貴族が中国の風雅な観月を取り入れ、庶民に広がり、のちに秋の収穫物を供えて実りに感謝をする行事となりました。
すすき
ススキは月の神様をお招きする「依り代」と考えられています。本来は実りを象徴する稲穂をお供えしたいのですが、稲刈り前ということで、形が似たススキを用いるようになったと言われています。秋の草花と一緒に供えることもあるようです。また、ススキの鋭い切り口が魔除けになるとされているため お月見の後軒先にススキを吊るすと1年間、無病息災で過ごせるともいわれています。
月見だんご
十五夜では、月見だんごを供えて作物の収穫に感謝し、これから実るものに対しては豊作を祈願します。だんごは月に見立てられ、丸い形は縁起がいいとされています。お供えする際は、三方(さんぼう)やお皿に白い紙を敷き、十五夜にちなんで15個を盛ります。なお、おだんごは食べると神様との結びつきが強くなるそうです。また、地域によっては子どもたちがおだんごを盗む「お月見どろぼう」という風習もあるそうで、子どもたちに盗まれることは縁起がいいそうですよ。また、おだんごも少しずつ地域によって違いがあります。
関東:お月見だんごといえば、白いまん丸のお餅のイメージでしたが、実は少し潰れているそうです。まん丸のおだんごは枕団子といい、死者の枕元に供えるおだんごで縁起が悪いため少し潰すそうです。また、昔は十五夜にちなんで1寸5分(=直径およそ4.5㎝)の大きめのおだんごを食べていたようです。
関西:しずく型のおだんごにあんこが巻いてあります。平安時代のお供えの主流であった里芋の形である、雲のかかった月をイメージしているなどの説があります。赤福餅に似ていますね。
名古屋:茶・白・ピンクのしずく型。茶色は皮のついた里芋、白は皮をむいた里芋、ピンクは子どもたちが親しみやすいように作られたそうです。
静岡:「へそもち」と呼ばれ、真ん中が少しへこんだ平たいおだんごです。徳川家康が人質として駿府城にいた際、「元気に育って欲しい」という願いを込め家来が作ったという説があります。おへその形は、子どもが胎内で母親から栄養をもらっていたイメージからだそうです。私はヘモグロビンのような形に見えました。
このほかにも中国 四国地方のお月見だんごは、あんこやみたらし、きなこの「串だんご」、
沖縄では塩ゆでされた小豆がそのままお餅のまわりについている「フチャギ」というお餅もあります。また、鹿児島県では「十五夜」に綱引きと相撲、踊りが奉納される地域もありますが、コロナ禍で中止を余儀なくされているようです。地域の行事が中止されることは残念ですが、各ご家庭でおだんごやすすきを準備し月を眺めてみてはいかかがでしょうか。お天気がいいといいですね。