「西郷南洲遺訓」から、今日は第25条「天を相手にし、誠を尽くせ」という教えをご紹介します。
人を相手にしないで、天を相手にせよ。
大いなる天を相手にするようなつもりで、自分自身の精一杯を尽くし、
人の非を咎めるようなことをしてはならない。
そして、もしそれがうまくいかないなら、自分の真心が足りないことを反省せよ。
人の言うこと、することを気にかけず、もっと大きな存在、人の上にあるもの、「天」を相手にしなさいと西郷さんは言っています。
この天について考えてみると、神様だったり、仏様だったり、言い方はさまざまあるかもしれませんが、人智を超えた大いなる存在とでもいえるでしょうか。
宗教的な教えばかりではなく、人は自然と人の上にある存在を意識し、おそれ敬い生きています。
明治の思想家であり、教育者である福沢諭吉の「天は人の上に人を造らず、人の下に人を造らず」も同様で、大いなる自然の摂理といえます。これは『学問のすすめ』の冒頭にある言葉で、生まれてから人間はすべて平等であり、貧富・家柄・職業・社会的身分などによって差別されるべきではないという意味です。
西郷さんは、社会の小さな枠の中での評判や、狭い人間関係だけで物事を考えてしまわず、もっと人間社会全体や、後々の歴史、後世への貢献までも含めて考え、行動すべきと言っています。そして、それがうまくいかなかった場合、自分の誠意が足りず伝わらなかったのではないかと反省すべきと主張しています。
今日は第25条「天を相手にし、誠を尽くせ」についてご紹介しました。
明日は、西郷南州遺訓の第26条をお送りします。