今日は、「西郷南洲遺訓」の第31条「世間の評判を気にせず、自分の信じる道を行け」という教えをご紹介します。
正しい道を行おうと決意した者は、
国中の人が寄ってたかってけなし、悪く言おうとも、決して不満を言ってはならない。
また、逆に、国中の人がこぞって褒めたとしても、
決して自己満足したり、舞い上がったりしてはならない。
なぜなら、本当に大切なのは周りの評判などではなく、
何よりも、自分が納得できるかどうか、
自分で自分の生き方に自信がもてるかどうかだ、ということを、
深く信じているからである。
そのような信念のある人物になるには、韓文公が書いた
「伯夷をたたえる文」を熟読し、その教えを身につけるべきである。
これまでの遺訓では、「聞く耳を持ちなさい」と言っている西郷さんですが、ここでは世間の評価を気にするなと言っています。
本当の忠告やアドバイスには聞く耳をもたなくてはいけませんが、世間から聞こえてくるものには無責任な評判などが多く含まれます。これには、けなす声も褒め称える声も含まれていて、こういった声に惑わされるべきではないと西郷さんは説いています。
後半では「伯夷の頌」について話していますが、これは、中国の殷が滅ぼされ、周に変わる時の話です。殷王朝に仕えていた伯夷と叔斉という兄弟が、周王朝の王から仕えるように望まれましたが、これを断りました。二君に仕えずという武士のモラルや考え方から、西郷さんは、自分自身が「天に恥じない」と思える行動が重要であることを主張しています。
時と場合によっては自分自身を貫くことも大事なんですね。
西郷南洲遺訓、明日は第32条をお送りします。