経営者を支える行政マン
中小企業の融資相談窓口がある、鹿児島市の産業支援課です。この日、入庁7年目の若手職員・串町亮麿さん(28)のもとを、県内を中心に活動する演歌歌手の男性がたずねてきました。
(歌手・沢木ひろしさん)「お花見とかに呼ばれて歌って(お金を)いただくが、それが全部だめになったもんですから」
新型コロナウイルスの影響で出演予定のイベントが軒並み中止となり、融資の相談に来ました。
(串町さん)「こちらが危機関連保証の認定を行っているが、今年3月の売り上げが分かる資料を持ってくれば、こちらで確認する」
串町さんが紹介したのは、県が今月から始めた中小企業や個人事業主の資金繰り支援のための制度。新型コロナウイルスの影響で売り上げが減った企業に4000万円を上限に一定期間、実質無利子で融資するもので、各市町村で申し込みの要件を満たすかどうか認定します。
(沢木さん)「ある程度の見込みというか望みが少し見えてきたので、ありがとうございます」
鹿児島市への融資や経営の相談は、外出や営業自粛の動きが広がった先月から急増。感染が拡大する前の普段の相談件数は月に10件から20件ほどでしたが、先月は865件、今月はきのうまでに2000件余りに上っています。
この日も相談者がひっきりなしに訪れ、串町さんを含め職員を普段の4人から6人に増やしましたが…。
この日の相談件数は150件に上りました。
昼食はおにぎり1個とドリンク。すぐに相談者のもとへ向かいます。
青果店を営むこちらの夫婦は、融資の申し込みに必要な売り上げなどの資料を提出しに来ました。
「客の来店数が今までの5分の1くらいに落ち込んだ。実際負債は増えるが、先を見越せば今負債を抱えてでも事業続けたいので」
この日、串町さんが担当した相談はおよそ20件。多忙な日々が続いています。
(串町さん)「皆さんどこまで頑張ればいいか苦しい状態。中小企業あってこその自治体や街なので、中小企業に今まで通りになってもらえるよう、コツコツと支援をしていきたい」
新型コロナウイルスの影響が広がる中、串町さんたちは「今こそ行政が支えになれる時」と、経営者らの声に耳を傾けています。
ご紹介した中小企業の資金繰りを支援する県の制度を利用するには、まずは各市町村で申し込みの要件を満たすかどうかの認定を受ける必要があります。詳しくは各市町村にお問い合わせください。
一方、売り上げが減った中小企業に最大200万円、個人事業主などに最大100万円を給付する国の緊急経済対策も始まる見通しです。詳しくは来週をめどに経済産業省のホームページで公表される予定です。