• きばっちょいもす
  • 恒例のシリーズ「きばっちょいもす」では、元気なお年寄りを紹介します。

漁師町に眠る「ビン玉」に輝きを! 85歳の職人技

昔を思い出して カラフルなロープで編まれた「ビン玉」

赤…、黄色…、緑…カラフルなロープで編まれた、網がかかっています。

大小さまざま、約30個のオブジェ。

ここはいちき串木野市羽島にある、農機具置き場。

仲間たちと農業にいそしむ、木塲重男さん(85)がひとりで作りました。

(木塲 重男さん)「(昔)船に乗ってた経験があったから。ビン玉が一つここにあって、思い出して編んでみようかなということで編んだらなんとかできたから、作ってみたら、人が『あら、キレイだな』と言うから。」

このガラス玉、本来は「ビン玉」といい、マグロの延縄漁などで「浮き」として使われてきました。ガラスが割れないようロープで編んだ網で包んでいます。しかし、今はプラスチックやゴム製にかわり、使われることは少なくなりました。


27歳で船を降り、農業の道へ 3年前「ビン玉」が目に留まる

昔から遠洋マグロ漁業で栄えた、いちき串木野市。

昭和10年生まれの木塲さんも、中学卒業とともに漁業をはじめ、22歳で遠洋マグロ船に乗りました。「ビン玉の網掛け」を覚えたのもこの頃です。

(木塲 重男さん)「海の上で1年くらい働いてイタリアとかスペインとか、魚を卸したりマグロを補給したり。『ビン玉』はガラスだから周りを割れないように網で編む、それがなかなか出来ずに。航海中、何十日も稽古をして一人前にできるようになった。」

27歳で船を降りた木塲さん。以降、農協に勤め、漁師の仕事からは離れていました。

3年前…ふと、農機具置き場に転がっていた「ビン玉」が目に留まりおよそ60年ぶりにやってみることに…。

(木塲 重男さん)「自分なりにやったんです。そしたらキレイにできたから、また『ビン玉』を探してきて作ろうかという気分になって。飾りだからな。まぐろ船の浮きなら大体決まった編みの目だけど飾りは品よく、人が見ていいねと思う編み方をする。」

今は、漁師の家の倉庫に眠る、数少ない「ビン玉」を譲り受け、網掛けをしている木塲さん。
昔ながらの海の職人技を持つ、貴重な存在です。


「ビン玉」以外にも編みあげる! 元気の秘訣は?

手が器用な木塲さん、こんなものも編み上げます。

慣れた手つきで完成させたのは、子供用の藁草履。地元の祭りに出る子どもたちが履きます。

妻に先立たれ、現在は娘さんと一緒に暮らしている木塲さん。元気の秘訣は?

(木塲 重男さん)「食べるものは、娘が朝作る梅干をひとつ、ゆで卵を1つ、おやつに1つ、こんなのを食べるから元気なのかな。」

(次女 直穂美さん)「器用で私にはまねできない、一生懸命さが伝わってくる優しいお父さんです。100歳までずっと私たちを見守ってほしいです。」

(木塲 重男さん)「暇があったら草履をつくったり、『ビン玉』を探して作ったりしようかな。若い人たちに昔の農作業の話をしていけたらな。」