「脱サラ社長」は目利きバイヤー 地元グルメ「かごしまぐるり」で発信(2023年6月8日放送)

サツマイモ、オクラ、黒毛和牛など鹿児島には日本一の生産量を誇る農水産物が数多くあります。そんな「食の宝庫・鹿児島」を全国に発信しようと、40歳を前に「脱サラ」し、通販サイトを立ち上げた男性がいます。


養殖用のいかだが広がる鹿児島県長島町の八代海。イワガキの出荷が最盛期を迎えています。

試食しているのは、鹿児島市の大薗順士さん、40歳。運営する通販サイトでイワガキを扱うことになり、産地の生の声を聞こうと、足を運びました。

(大薗順士さん)「それぞれのストーリー、こだわり、魅力、地域性をかごしまぐるりを通じて発信していきたいという思いから直接、自分自身が足を運んで現場を訪問している」

イワガキは濃厚でクリーミーな風味から「海のチーズ」とも呼ばれていますが、「養殖日本一」のブリやカンパチに比べると、知名度はまだまだ。生産者は通販サイトに出品し、販路を広げたいと期待します。

(イワガキ生産者 水永魁人さん)「(販売先は)飲食店などに限られていたが、どんどん知ってもらえるようにしたい」

大薗さんが通販サイトを立ち上げたのはおととし9月、38歳のころです。それまで15年、会社員として働いていましたが、鹿児島の食の魅力を自分で発信したいと起業しました。

サイトの名前は「かごしまぐるり」。消費者は生産者のこだわりなど「プラスアルファの価値」を求めていると感じています。

サイトを立ち上げて1年半。取り扱う商品は10種類から500種類へ、出品してくれる生産者は3人から200人に広がりました。スタッフもやりがいを感じています。

(小出竜さん/愛知県出身・34歳)「鹿児島に来て驚いたのは、食のおいしさ。一緒に広めさせてほしいと頑張っている」

(外園千尋さん/4月入社・20歳)「自分のデザインがサイトに載ったり、メルマガに載ったりするとうれしい。やりがいを感じている」

「かごしまぐるり」の文字通り、地元グルメを求めて海へ山へ。この日、向かったのは…南九州市のトウモロコシ農家です。

(トウモロコシ農家 瀬川祐星さん)「大薗さんはけっこう来てくれる。大丈夫かなって思うぐらい」

大薗さんとの出会いは刺激になったといいます。

(トウモロコシ農家 瀬川祐星さん)「大薗さんはいろいろ紹介してくれる。パワーをもらえる存在」

生産者と消費者をつなぐ大薗さんの原点は…やはり農業です。実家は南九州市でコメをつくっている兼業農家。今も父・初男さんと畑で汗を流しています。

(大薗順士さん)「今回、独立したいから応援してくれと話した」
(父・初男さん)「いいんじゃない。自分で決めたんだから」

(大薗順士さん)「まだまだ、自分も知らない良いもの、すばらしいもの、生産者がまだまだたくさんいる。鹿児島の良いものを全国の人に知ってほしい」

40歳を前に飛び込んだ新たな世界。農業の未来を見据えた挑戦は続きます。