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新日本科学の人工飼育うなぎ 和泊町で試食会「次は全国・世界の人に食べてほしい」(2023年6月7日放送)

養殖に使われるウナギの稚魚「シラスウナギ」の不漁が続く中、新日本科学がウナギの人工生産に取り組んでいます。研究が進められている沖永良部島を取材しました。

沖永良部島の和泊町で開かれたウナギの試食会。うな重をはじめ、卵で巻いた鰻巻き、酢の物、ウナギの肝吸い…。すべて島の研究施設で人工的に生産されたウナギの稚魚・シラスウナギを育てたものです。

研究に取り組んでいるのは鹿児島市に本社がある「新日本科学」です。ウナギの養殖は一般的に川などで捕まえた天然のシラスウナギが使われますが、年によって増減はあるものの漁獲量の低調が続いていて、資源の枯渇や価格の高騰も懸念されています。
県内で昨年度獲れたシラスウナギは282.3キロ。ピーク時の1970年代には3トンを超える漁獲量がありましたが、この50年間で4番目の少なさです。県は「海流の変化で影響を受けることは考えられるが、不漁の原因はわからない」としています。

ウナギを安定的に供給できないかと、新日本科学は2014年から二ホンウナギの稚魚「シラスウナギ」を育てる研究を始めました。2017年、人工海水を循環させるシステムを使い、世界で初めて地上でのシラスウナギ生産に成功。2019年からは海水などの環境が適した沖永良部島の和泊町に研究の拠点を移し、昨年度は280匹のシラスウナギ生産に成功しました。

(新日本科学・沖永良部研究室 宇都宮慎治室長)「かなり澄んだ海水があるのと、海水温が比較的高いのがメリット」

今回の試食会で提供されたウナギは2020年11月からおととし5月ごろに沖永良部の研究室でふ化し、食用可能なサイズまで完全養殖で育てられました。
島で開かれた試食会では、関係者がその味を確かめました。

(食べた人)
「ふわっと脂がのって、沖永良部の海水で育てただけあって余計おいしい。身近でこういう高級なものを食べる機会が増えることは良いと思う。なかなか島を出ないとお目にかかれない」
「脂がすごく乗っていて、タレも上品でおいしい。シラスウナギを購入するのが高くて大変という話がある。人工的に安定的に生産ができると、養鰻業者も助かると思う」

試食会の参加者には、町長の姿も。

(和泊町 前登志朗町長)「ウナギの泥臭さが一切なく、本当に美味しいウナギだった。感動なのは、このウナギが和泊町で卵からかえり、完全養殖で育ったウナギがここにあるのがうれしい。製品化まで和泊町でしてもらえるなら、新しい特産品にもなるので、我々も誇りをもって全国に発信していきたい」

(新日本科学 永田良一会長兼社長)「和泊町の方がこんなに応援してくれて、それが美味しさを何倍にもしてくれた。とにかく和泊町ウナギを、全国あるいは世界の人に食べてもらうのが次のミッションかと思っている。大量生産はできるので、あとはやるだけ」

新日本科学では、今年度1万匹のシラスウナギの生産を目指していて、2026年度には年間10万匹のウナギを生産したいとしています。