新型コロナ 無料検査に希望者殺到 医療機関では混乱も
新型コロナの感染拡大が続く中、県は不安を感じる無症状の県民を対象に無料のPCR検査と抗原検査を行っています。ただ、対象の医療機関には希望者が殺到し、混乱も起きています。
鹿児島市明和のますみクリニックでは、50代の男性が無料のPCR検査を受けに訪れていました。
(無料検査を受けた人)「離島に介護が必要な母親がいるので、感染していないことを確認しないと不安で」
検査の結果が出るのは10分後。その間に医師は、通常の診療をこなします。
(ますみクリニック 青山浩一院長)「1人でやってると忙しくて、ときどき何やってるか分からなくなる」
県は県内でのオミクロン確認を受けて、無料検査を今月5日から開始。しかし、検査希望が集中するケースも出ているといいます。
このクリニックでは、通常1万円ほどかかる検査が無料になったことで、1日の希望者は以前の10倍の20人近くに増えました。通常の診療ができなくなるため、今は1日10人に限定しています。
(ますみクリニック 青山浩一院長)「次から次に検査をする中で、かぜの方が来るとそちらの診療が十分できているか心配。無料化はたくさんの方が期待するので、受け入れる事業所が増えることが大事」
一方、鹿児島市山下町の福元クリニックも無料検査を受け付けていますが、ある課題に直面しているといいます。
(福元クリニック 福元和彦医師)「検査数が多いのでコストの問題。さすがに想定外」
クリニックで採取した検体は業者に出して検査しますが、検査キット代は1人7700円かかり、県が後で支払うことになる費用は当面はクリニックが立て替えなければいけません。このクリニックでは、今月は検査数が1日に100人近くに上っていて、今月分の支払いは600万円以上になる見込みです。
県民の不安解消と感染拡大防止のために無料検査に参加しましたが、資金繰りは厳しいといいます。
(福元クリニック 福元和彦医師)「業者にお願いをして支払いを待ってもらう。財源がないので。(無料検査は)今月いっぱいのゴールを見据えて頑張ってるが、2月以降も感染状況は分からない、あと1か月やれるか自信ない」
県の無料検査に登録しているのは13日時点で53施設で、そのうち7割が病院やクリニックです。県は、「民間の検査センターを増やしたり、薬局などに働きかけたりして医療機関の負担を減らしたい」としています。また、医療機関が立て替えている検査代については、今月中に申請手続きの内容を示し、できるだけ早く支払いたいとしています。
感染が拡大し、不安も広がる中で重要性を増す無料検査。しかし医療機関の負担をどのように減らしながら体制を充実させていくのか?難しい課題にも直面しています。
なお、無料検査は無症状の人が対象で、症状がある人や濃厚接触者の人は受けられません。県は、症状がある人はかかりつけ医や受診・相談センターに電話で相談するよう呼びかけています。