新型コロナ ホテル療養・自宅待機でも医療保険は?

鹿児島県内ではこれまでに9000人近くが新型コロナに感染しました。新型コロナは国の指定感染症なので、医療費は基本的に公的負担ですが、医療費以外にもいろいろな出費があります。

そこで新型コロナの場合は、医療保険に入っていれば入院給付金を受け取ることはできるのか?そして療養でホテルなどの施設に入った場合や自宅待機で病院や療養施設に入れなかった場合はどうなるのか?気になる医療保険の疑問点を取材しました。

新型コロナウイルスは、国が去年1月に指定感染症に定めました。このため、医療費は基本的に公費で負担されます。入院した場合だけでなく、宿泊療養や自宅待機中であっても医師の往診を受けた場合や、宿泊療養を終える時点で受けるPCR検査の費用は公費で支払われます。

一方、民間の医療保険では、通常、病気やけがで入院した場合に、1日当たり5000円から1万円ほどの「入院給付金」が支払われます。原則、公費負担の新型コロナの場合はどうなるのでしょうか?ファイナンシャルプランナーの小野祥子さんに聞きました。

(小野さん)「入院された方は『入院給付金』の請求が可能。療養施設や病床が空かないなど、いろんな事情があって待機されてる方もいる。理由が(自治体などの)証明書に記載されていれば、保険会社が判断して支払う。まずは自分が加入している保険会社の確認が必要」

新型コロナの場合、入院ではなくホテルや自宅で療養するケースが増えていることから、多くの保険会社ではこうした療養に対しても「入院給付金」を支払うことにしています。民間以外でも、職場で加入している保険や公的医療保険でも保険金が出る可能性があるため、小野さんは、まずは自分から情報を集めてほしいと話します。

(小野さん)「すべては知ることからスタート。自分自身を知ることも大事だし、社会の仕組みも分かっておかなければいけない。入院給付金の対象にならないと思っていたものがなると知る、知っただけで得!」

ただ、入院以外で保険金を受け取る場合、「新型コロナに感染し療養した」という医師や自治体などの証明書の提出が必要です。県が発行するのは、宿泊施設で療養をした期間の証明書。一方、各保健所は「就業制限通知書」として、自宅待機をしていた期間を含めて証明書を発行します。このどちらでも、保険会社に提出できます。

県は療養を終えた人に、申請なしで順次証明書を発送していますが、今、こんな問題も…。

(40代男性)「証明書がないと(保険金が)出ない状況なのに、県がすぐに発行してくれない。得られる保険金が1ケ月以上先延ばしになってしまう」

鹿児島市で飲食店を経営する40代の男性。先月、知人の家族5人全員が感染し、少しでも生活費の足しにしようと県に証明書の発行を依頼しましたが、感染者が多く、1か月待ちと言われたことを知りました。自分がもし感染したらと、不安に感じたと言います。

県は「先月、感染者が急増し対象者が多いことや、証明書の二重チェックなどに時間がかかっている」としたうえで、「事情があり発行を急ぐ場合は、個別に対応するので連絡してほしい」としています。

いつ感染してもおかしくない新型コロナ。ファイナンシャルプランナーの小野さんは、災害への備えと同じように、保険の見直しや貯金の計画など、お金の面での備えも考えておいてほしいと話します。

(小野さん)「自分がもし感染したときに何が困るのかを想像して、保険だけではなく貯蓄もどう準備しておくか、何で賄う必要があるのかを考える機会として、家族や自分自身に問いかけて頂きたい」