新型コロナ 鹿児島県内 感染者減少も死者は増 なぜ?
新型コロナの鹿児島県内の感染者は、今月に入り減少傾向が続いている一方で、今月13日までに14人の死亡が判明し、1日1人のペースで推移しています。背景にはどんな要因があるのか、専門家に聞きました。
県内では先月中旬から下旬にかけて新型コロナの感染が急拡大しましたが、13日は1日あたりの感染者数が30人を下回るなど、今月に入り、減少傾向に転じています。日本感染症学会が認定する専門医で、済生会鹿児島病院の久保園高明院長は、今月に入り、人の流れが抑制されたことを要因にあげます。
(久保園院長)「夏休みやお盆による人の動き、移動先での人と接触があった。さらには県独自の緊急事態宣言。そのあとのまん延防止等重点措置。そういうのが相まってここまで減ったと考えられる」
感染者が減っている一方、今月に入って亡くなった人は14人と、すでに先月ひと月の3倍近くに上っています。どうして急に死亡者数が増えたのか。久保園院長は、感染者の多くがデルタ型であることを指摘します。
(久保園院長)「今回はデルタ株がほとんどで、ウイルスとして病原性が高いと言われている。最近になって医療機関での大きなクラスターもみられる。こういうことは気をつけていかないと死者数の増加につながっていく」
そして、宿泊施設での療養者や自宅待機者が急変し、重症化する点に着目します。酸素を十分に取り込めていないにもかかわらず、息苦しさを感じないまま、急激に重症化。「ハッピー・ハイポキシア」=いわゆる「幸せな低酸素症」と呼ばれる状態です。
(久保園院長)「ハッピーハイポキシアが急変の一つの大きな原因と言われるようになってきている。時々、酸素が非常に低くても本人はあまり自覚していなかった、スマホで電話していた人がいて驚いたという話を聞くようになった」
県内では13日現在、68人の感染者が自宅待機していて、県や鹿児島市では血液中の酸素濃度を測れる「パルスオキシメーター」を貸し出しています。久保園院長は、息苦しさを感じなくても酸素飽和度を定期的に測り、異変に気づいたら保健所や医療機関に相談するよう呼びかけています。
(久保園院長)「血液中の酸素を客観的に評価できるので、パルスオキシメーターで示される数字は大変有効。健康な人だと97~99%くらいの数字。一つの目安として93%以下なら急いで医療機関を受診すべき。94%、95%は厳重に注意する数字」
医療従事者の目が十分に行き届かない場合もある宿泊施設での療養や自宅待機では、客観的かつ、こまめに状態を確認し、小さな体調の変化を見逃さないことが大切です。