• 鹿児島発 コロナに負けない!
  • 新型コロナウイルスの感染拡大は、私たちの生活や経済に暗い影を落としています。一方で、先が見えない不安の中、この逆境に立ち向かう人たちがいます。このシリーズでは、新型コロナに負けまいと頑張っている人や企業などを紹介します。

ビデオ通話を活用!「テレモール」とは

新型コロナウイルスの打撃を受ける地域経済を盛り上げようと、いちき串木野市の女性が仲間たちと一緒にインターネット上で新たなビジネスモデルを立ち上げました。その名も「テレモール」。どんな取り組みなのか?道山記者の報告です。


いちき串木野市のグラフィックデザイナー・河野礼奈さん(27)です。
公園を訪れた河野さんはビデオ通話アプリを使って、市外に住む仲間のデザイナーらと新たに立ち上げたビジネスモデルに関する打ち合わせをしていました。

「どうしたらいいか迷う客もいると思うので、すてきな笑顔で接客とおもてなしを」

 

河野さんたちが立ち上げたのはその名も「テレモール」です。
新型コロナウイルスの影響もあって広がる在宅勤務=テレワークと、ショッピングモールから生み出した造語です。

仕組みはこうです。まずインターネット上に仮想の商店街を作って複数の店舗に出店してもらいます。

そこにビデオ通話アプリを使って利用客に訪れてもらい、店員との会話しながら買い物を楽しんでもらいます。

(道山記者)「テレモールのトップページ。右側にスタッフがビデオ通話でつながった状態で表示され、スタッフの案内を受けながら、行きたい店に入る仕組みです」


初めてのテレモールには、枕崎のかつお節店や、地域の物産店のほか、エアギターや、けん玉教室など個性的な店も含め、県内の23店舗が参加しました。

(客)「出汁をとった料理を食べさせてあげたいんですけど」
(出店者)「たとえばこういうかつおパックもありますし」

通常のネット販売と違って、まるで本当の商店街のようにコミュニケーションを取ることで店の魅力をより感じてもらうのがねらいです。


参加店舗の一つ、鹿児島市の出版社「燦燦舎」です。
地元を題材にした絵本や歴史の本を出版しています。

(燦燦舎・鮫島琴恵さん)「すごい売り上げ減っていて、本屋さんで主に売れるので、(本屋が入っている)デパートが営業自粛で閉まっていくし、新しい売り方を考えないといけないと思っていた」

パソコンの前に商品の本を並べて準備万端。ところが…。

(鮫島さん)「誰も来ません…」
(夫)「今からだ」

河野さんに相談することに…
(鮫島さん)「お客さんを待っています」
(河野さん)「読書会が終わったらドバドバッと来ると思います」

開店から40分。

(鮫島さん)「来ました!」
(鮫島さん)「西郷さんの絵本ですとか、桜島の絵本…」
(客)「1冊ずつほしいと思っていたんで」
(鮫島さん)「こっちから送りますので、振り込んでいただけたら」

(道山記者)「テレモールでの本屋との関わり方はいかがですか?」
(客)「(直接)話を聞くと買いたくなる感覚ですよね。普通の本屋と違う。未来を感じる気がしますね」

この日、店には6人が来店しました。
(鮫島さん)「5冊売れました。緊張するがまたやってみたい」


こちらは天文館のバーです。酒の販売はできないものの、営業自粛が続く中で店の雰囲気や会話だけでも無料で楽しんでもらおうと参加しました。
新型コロナの影響で鹿児島に帰省できない東京の男性が訪れました。

(客)「地元の友だちと話したりとか楽しみにしていたが、こういう状況で帰省できない。収束したら実際にバーに行ってみたい」
(店員)「ぜひお待ちしています」

この日は午後5時から3時間の営業でしたが、23店に150人が来店。利用方法が分からない客が出るなど課題も残りましたが、無事、商いを終えました。

(道山記者))「どうですかやってみて?」
(河野さん)「正直まだビジネスとしてどう展開していくかということはまだ考えられいないが、自分(出店者)がやってみて、もっとこうできたかもしれないと思ってもらえたことが価値かなと思っているので、私たちもそこに協力できたらいい」

逆境の中で始まった「テレモール」の取り組み。次回の開催はまだ未定ですが、新たな可能性につながればと河野さんたちは期待しています。