桜島フェリーどちらが前?後ろ?
鹿児島市の中心部と桜島をおよそ15分で結ぶ「桜島フェリー」。毎日24時間運航で人と車両を運んでいます。
その桜島フェリーについてこんな疑問が…
『前後対称の桜島フェリー。前と後ろはあるのでしょうか?』
現在5隻の船が運航している桜島フェリー。見てみると、いずれの船もつくりが前後対称になっています。そのため入港、出港するときは。
(乗船客)「垂水フェリーは回転するけど桜島フェリーはバックしないですもんね」
鹿児島市の鴨池港と垂水港を結ぶ「垂水フェリー」の出港の様子です。
鴨池港を出港する際、船は、着岸した状態から一度バックして、ぐるっと方向転換しています。このように一般的な船は、出港、入港するときに船首が前方に来るよう、船の向きを変えるのですが、桜島フェリーはというと…
(執行キャスター)「今、桜島港にフェリーが入港してきました」
船は入港後、そのままの方向で着岸。そして…
(執行キャスター)「着岸してから15分ほどが経ちました。今度は鹿児島港に向けて出港です。船は着岸したそのままの状態で、今度は逆向きに進んでいくことになります」
船は方向転換することなく、そのまま出港していきます。
(鹿児島市船舶運航課 福重義隆課長)「車両を多く積み込むので、両方から入って両方からまた出られるように作ったほうが短時間で作業が可能になるので、効率的に作業できるよう、このような形になっています」
桜島フェリーは「両頭船」と呼ばれる船で、前後どちらの方向にも進めるよう作られているのです。
たとえば、一般的な船には片側にしかない「スクリュー」や「操舵室」も前後それぞれに完備。操舵室は進行方向のものを使うことになっているため、着岸すると、船長は…
(岩下修船長)「この船は両方とも行ける造りになってるので、操縦権をこちらに移した。桜島フェリー独特ですね」
また、自動車も…
(鹿児島市船舶運航課 濵平健一さん)「車両も乗った順番で降りられるようにしてある。それも両方に設備があるので可能となる」
では、そんな“前後対称”の桜島フェリーに前、後ろはあるのでしょうか?
毎日のように利用しているというこちらの乗船客は?
「向きがね、たまにあら?っと思うことあるけど、気にしない」
乗り物が大好きで乗り物をテーマにした数々の番組にも出演したこの人は?
(田辺アナ)「何でそんな質問。常識じゃないですか。え、ないですよ。それぞれ両側に操舵室があって両側にスクリューがあって、どっちの方向にも前進できるんですよ」
さすが、構造について即答だった田辺アナウンサー。
では本当に、桜島フェリーに「前」「後ろ」はないのでしょうか?
(鹿児島市船舶運航課 福重義隆課長)「桜島フェリーにも前後、船首・船尾というのがございます」
では、もういちど、桜島フェリーを見てみましょう。
一見して、どちらが前、後ろ、皆さん分かりますか?実はこの映像に答えが写っているんです。その答えとは…
(福重課長)「船を外から見ていただくと、錨が付いているのが『前』、錨が付いていないのが『後ろ』というふうになっています」
実際に桜島フェリーを見てみると…
(執行キャスター)「ありました、あれですね、イカリ。たしかに片方だけについていて、反対側には付いていません」
船に必ず付いているイカリ。構造上、どの船もほぼ必ず前方=「船首」部分に付いています。
桜島フェリーの場合、イカリが付いている方を桜島側に向けて運航。
全部で5隻ある桜島フェリーはどの船も、常に桜島側が前方の「船首」、鹿児島市街地側が後方の「船尾」なんだそうです。
(田辺アナ)「あぁ~!そうですか!(そこはご存知なかった?)前・後ろあるって知らなかった。そうか、錨が付いてるとかそうかそうかぁ~。目からうろこが落ちる事実でございました」
「両頭船」の桜島フェリー。前後どちらにも進むことができる特徴的な構造でありながら、前、後ろははっきりと存在することがわかりました。