• 鹿児島発 コロナに負けない!
  • 新型コロナウイルスの感染拡大は、私たちの生活や経済に暗い影を落としています。一方で、先が見えない不安の中、この逆境に立ち向かう人たちがいます。このシリーズでは、新型コロナに負けまいと頑張っている人や企業などを紹介します。

みんなで逆境を乗り越えよう 天文館出前便

外出自粛などで深刻な売り上げの減少に苦しむ鹿児島市天文館の飲食店から始まった出前とテイクアウトの取り組みです。

(SAKE処 くうや店主 中原定男さん)「発生前と今とでは売り上げは約8割の減少。厳しい状況。」

鹿児島市中央公園の近くにある居酒屋「くうや」の店主、中原定男さんです。
新型コロナウイルスの感染拡大に伴う外出自粛や県からの営業時間の短縮要請で、売り上げはおよそ8割減りました。

(中原さん)「ニュースを見てても、状況が二転三転する毎日なので、何が正しくて何が間違っているのかと模索しながらの毎日ですが、自分たちはいつも通りの仕事に徹するだけ」

この厳しい状況を乗り越えるため、中原さんが取り組み始めたのがSNSを使った出前とテイクアウトのサービスです。

フェイスブックに立ち上げられたグループ「天文館出前便」。
新型コロナウイルスの影響で売り上げが落ち込む飲食店が参加していて、出前やテイクアウトのメニューを載せています。立ち上げから1か月あまり、鹿児島市内を中心に100を超える飲食店が参加しています。

注文したい人はそれぞれの店に直接連絡。
通常の出前の場合は店のスタッフが配達しますが、「天文館出前便」では提携するタクシー会社が配達する仕組みも取り入れています。

(中原さん)「同業者が協力し合ってテイクアウトやデリバリー(出前)にスイッチしていく方向性に共感して頑張っていこうと思って始めた」

中原さんは店で提供している単品メニューのほか、家族向けのオードブルを「天文館出前便」で扱っています。

新型コロナウイルスの感染拡大前の売り上げには程遠いといいますが、常連客の言葉を支えに厳しい状況を乗り越えたいと話します。

(中原さん)「主に常連様が多いが、持ち帰りの際に『来られなくてごめんね』『収束したら来るからね』と温かい言葉もいただけるので、頑張っていかないとという一心」


「天文館出前便」の発起人、天文館で焼肉店を営む原口武義さんです。
天文館全体で逆境を乗り越えようと、先月「天文館出前便」を立ち上げました。

(和牛門代表・原口武義さん)「店の売り上げは1割ない。影響は計り知れない。自分1人で乗り越えるのは無理。自分だけ良くても越えられない」

原口さん自身も焼肉店で作った弁当などの出前とテイクアウトを行っていて、今の苦しい状況を乗り越えられれば将来につながると信じています。

(原口さん)「テイクアウトとデリバリー(出前)は本当に大変で、1か月後、2か月後にやっている想像ができない。でも、皆さん今を生きるために一生懸命やっている。(新型コロナが)終わった後に力になれば良い。」


天文館出前便では、タクシー会社と提携する動きも始まっています。鹿児島市のタクシー会社・山元交通は、3500円以上の出前を注文した人に対して天文館から6キロ圏内であれば初乗り運賃の640円で配達しています。
山元交通は「出前便の取り組みに共鳴し、1日でも早く天文館に賑わいが戻れば」と話していました。