• 鹿児島発 コロナに負けない!
  • 新型コロナウイルスの感染拡大は、私たちの生活や経済に暗い影を落としています。一方で、先が見えない不安の中、この逆境に立ち向かう人たちがいます。このシリーズでは、新型コロナに負けまいと頑張っている人や企業などを紹介します。

「地域に愛される店に」焼肉店2代目店主の思い

鹿児島市中山町の「やきにく元太」。新型コロナウイルスの影響で今月に入ってからの来店客数は、前の月の5分の1まで減りました。

9年前、20歳のときに父・友二さんから店を引き継いだ2代目店主・上村元太さん(29)は、危機感を募らせています。
(上村元太さん)「最悪の場合は自分たちが生きるか死ぬかというところまで想定して今動いている。」


新型コロナの影響で客足が減る一方、持ち帰りのニーズが高まるのに合わせて、持ち帰りの焼肉セットの販売を始めました。さらに地域の人を元気づけたいと、何度でも使える黒毛和牛のステーキ2100円分の無料券のプレゼントもスタート。

(上村さん)「焼肉は、何かのごほうびで食べに行こうというのが多いと思うので、その中でもステーキを食べたら元気になるかなということで。」


鹿児島実業のサッカー部を卒業後、プロを目指して1年間ブラジルに渡った上村さん。20歳で一時帰国した際に目にしたのは、体調を崩した父・友二さんに代わって店を支える母・加代子さんの姿でした。懸命に働く母親の背中を見てプロの道を諦め、店を継ぐことを決意しました。

(上村さん)「背中で見せるという父親だったので、アドバイスはなかったですけど、『お前が思った通りにやればそれでいい』というスタンスで。いつも背中を押してもらって走ってきた」

上村さんが店を継いでから2年後、父の友二さんは、49歳の若さで亡くなりました。
(上村さん)「20歳のときに父のノートを見て、『外食産業を通じて1人でも多くの人を幸せにする』という言葉が書いてあって、それがすごく衝撃的で。お客さんを幸せにしたいから、父はずっと仕事をしてたんだなというのがわかって、その気持ちを引き継ぎたいなと思った」

店とともに、父が大切にしてきた思いも引き継いだ上村さん。先月には、2人目の子どもが生まれ、決意を新たにしています。
新型コロナの影響で、厳しい経営環境が続きますが「地域に愛される店」を目指して前を向いています。

(上村さん)「1年後、2年後、乗り越えたときに、またこのお店がパワーアップしていて、また地域の方にさらに愛されるお店になることを想像するだけで、楽しみでしょうがないので、それを楽しみに今は我慢の時期なので。」