• 鹿児島発 コロナに負けない!
  • 新型コロナウイルスの感染拡大は、私たちの生活や経済に暗い影を落としています。一方で、先が見えない不安の中、この逆境に立ち向かう人たちがいます。このシリーズでは、新型コロナに負けまいと頑張っている人や企業などを紹介します。

コロナ禍で出荷減のニジマスで新特産品 伊佐米にあう3種の味のおかず

伊佐市でコロナ禍で出荷が減少したニジマス養殖業者を応援しようと、飲食店などが有志が協力してニジマスを使った新たな特産品を開発しました。

伊佐市の居酒屋で出されていたのは、養殖されたニジマスにみそなどで味付けをして焼き上げた「ニジマスみそ焼き」です。市内の3つの店で、ゆず胡椒味、とりみそ味、ねぎみそ味のそれぞれ異なる3種類の味のみそ焼きが出されています。

使われているのは伊佐市大口の養殖場で育てられたニジマスです。経営する吉野克彦さんは市内2か所で合わせて50万匹のニジマスを養殖しています。評判もよく、指宿市の唐船峡など県内の多くのそうめん流し店で提供されていますが、新型コロナの感染が広がったおととし以降、出荷は激減しました。

(吉野養魚場 吉野克彦代表)「2年前のゴールデンウィークはほぼゼロに近かった。(年間の売り上げは)その年が半分ですね」

また、おととしは県内で初めて大雨特別警報が出された7月の記録的大雨の際に濁流が養殖場を襲い、ニジマスおよそ7万匹が被害を受けました。

(吉野養魚場 吉野克彦代表)「あの橋を超えたんですよ、水が。濁流が入って池は砂に埋まった。やめようかなと思いはあった。ましてコロナの状況もよくなかったので」


苦境にあえぐ吉野さんに手を差し伸べたのは、似た状況にあった市内の飲食店やホテルなどでした。

伊佐市では、地元食材の魅力を発信しようと、市内の飲食店などが協力して地元特産の伊佐米と一緒に食べられるおかず「伊佐米膳」の開発に取り組んでいます。その一環としてニジマスを使った商品の開発が進められ、「ニジマスみそ焼き」が生まれたのです。

3種類の味のうち、とりみそ味の商品をつくった「そうめん流し奈加夢羅」です。

背開きにしたニジマスに、鳥ミンチや砂糖などを加えて味をつけた麦みそを詰めます。そしてバーナーであぶり、焼き目を付けた後、業者に依頼して高圧で処理し、骨まで食べられるほど柔らかく、真空パックで1年間常温保存できるようにします。

(そうめん流し奈加夢羅 中村賢二社長)「高圧釜で煮て臭みもなく、1年間常温で保存できる」

こちらのそうめん流しもコロナ、大雨のダブルパンチを受けていて、今回の商品開発に期待を寄せているといいます。

(そうめん流し奈加夢羅 中村賢二社長)「おととしの水害で座席も流れた。(復旧して)お客さんも利用できるようになったが、コロナの影響で厳しい状況はつづいている。店にこなくても店の味を味わうことができるというので、期待し一生懸命取り組んでいる」


このホテルでも、特産の金山ネギを使ったねぎみそ味の商品が人気だといいます。

(大口グリーンホテル 宮迫一弘社長)「骨までやわらかくて、ご飯がすすむと言っていただいている。今ホテル業界かなり厳しい。とにかく攻めるということで、新しく加工品という形でチャレンジしている」

ニジマスみそ焼きは開発した3店舗では1匹税込み810円で販売されていて、物産館などでも購入できます。

市も販売に力を入れていて、先月は福岡にオープンしたばかりの商業施設、ららぽーと福岡で橋本欣也市長がトップセールスをしました。

(伊佐市地域振興課観光特産PR係 原田義壽さん)「今後はふるさと納税の返礼品とか土産屋でも積極的に販売し、伊佐の新しい味として売り出していければと考えている」

コロナ禍の逆境から生まれた新たな特産品。伊佐市のニジマスの魅力をより多くの人に知ってもらうチャンスに変えられればと、関係者は期待してます。