• 鹿児島発 コロナに負けない!
  • 新型コロナウイルスの感染拡大は、私たちの生活や経済に暗い影を落としています。一方で、先が見えない不安の中、この逆境に立ち向かう人たちがいます。このシリーズでは、新型コロナに負けまいと頑張っている人や企業などを紹介します。

ある物で地元産品を販売 霧島市の取り組み

新型コロナの逆境に立ち向かう人や取り組みを紹介するシリーズ「コロナに負けない!」です。コロナ禍で売り上げ減少に悩む霧島市の企業や商店の人々が集まり、あるものを使って地元の産品を販売しています。地域を盛り上げようと、町の活性化に挑んでいる取り組みを取材しました。


普通の自販機?まるで商店街のような商品がずらり

一見、普通の自動販売機。でも、販売している商品は…

かまぼこ、ラーメン、さらに、地鶏の炭火焼きや、くじ付きの駄菓子まで。商店街と見まがうような自動販売機。

霧島市隼人町、浜之市地区で地域に評判の…。


24時間いつでも地元の商品が買える自動販売機、「じはんき商店街」。

およそ20個の商品が自動販売機に中に並んでいます。価格も120円から500円とお手頃なものばかり。ほとんどの商品が2、3日で売り切れになるほど地域では評判の「じはんき商店街」です。

炊き立てのご飯に混ぜてちらし寿司を作る「すもじ」と呼ばれる商品が特に人気です。この自動販売機、地域の老舗店、植山蒲鉾屋の植山吉将さんのアイデアで生まれました。4日間の売り上げは…。

コロナ禍で、飲食店の営業時間短縮、観光客の減少、さらに巣ごもり需要を見越して、このアイディアが浮かんだといいます。

(植山さん)「うちは土産物なんですけど、土産物も店を閉めてくださいという時期があった。その時、手の打ちようがなかった。なんとか売る方法がないかと考えたときに、自動販売機だったらいけるんじゃないかなと思った」


仲間の事業者も心の支えに 地域の人々を大切に思うきっかけづくりにも

同じくコロナで打撃を受けている仲間の事業者にも声をかけ始めたのが「じはんき商店街」でした。

植山さんに賛同した西洋平さんです。霧島市の国道10号沿いなどで複数のラーメン店を営んでいます。店で出しているテイクアウトのラーメンを、自動販売機用にアレンジしました。

コロナ禍で、売り上げが減少し、1店舗閉店に追い込まれたましたが、この「じはんき商店街」が心の支えになっていると話します。
(鹿児島ラーメン 西洋平社長)「納品の度に、売れ残っていることはなくて。この地域の方に、この商品も自動販売機も愛してもらっているなあと感じている。売り場が少しでもあるというのは、心の支えになっている」

「じはんき商店街」で地鶏の炭火焼きを販売している霧島市国分の鶏肉加工会社、カゴシマバンズです。コロナ禍で取引先の飲食店が次々と休業し、霧島市内にあったグループ会社の飲食店も閉店しました。

何とか販路を開拓しなければと考えた矢先に、「じはんき商店街」を知り、これまで地元では販売していなかった加工品を販売しました。


(カゴシマバンズ 川田陽製造部長)「知ってもらえるまでの期間はかかると思うが、結構リピーターが多いみたいで上々です」

商品力の高さから評判を呼ぶ「じはんき商店街」。霧島市国分の城山公園近くに2号店も誕生。店の看板代わりの自動販売機の中身を、清涼飲料水から地元の商品に変えました。


(和香整体 若松由紀子さん)「(知り合いの)お店の困っている人もいたし、買う人も、人と会って買いたくないという人もいたので、役に立つかなと思って」

発起人の植山さん、新型コロナの感染拡大で、必要に迫られ始めた「じはんき商店街」ですが、地域の人々を大切に思う気持ちに気づかされたと話します。

(植山さん)「コロナの中で私たちが感じたことは、たくさん来る観光客が急になくなった。結局助けてくれたのは地元の方だった、地元のお客さん。その地元のお客さんをないがしろにしていたのではないかなとも思ったぐらい、本当に助けられた。地元の方に売るのが一番早道で一番大事なことなんだなあと、そういうきかけづくりに自販機はなっている」