• 鹿児島発 コロナに負けない!
  • 新型コロナウイルスの感染拡大は、私たちの生活や経済に暗い影を落としています。一方で、先が見えない不安の中、この逆境に立ち向かう人たちがいます。このシリーズでは、新型コロナに負けまいと頑張っている人や企業などを紹介します。

養殖カンパチでコラボ商品

今回は、落ち込んだ出荷量を独自に開発したえさで品質向上、販路拡大を図り、逆境を克服しようと奔走する垂水市のカンパチ養殖業者たちです。


「海の桜勘」のブランド名で売り出している垂水市のカンパチは、年間出荷量がおよそ500トンと、全国トップを誇ります。しかし…。

(光美水産 川畑洋海社長)「(去年)5月を過ぎてから、急激にやっぱり、出荷量が落ちてきて、例年になく出荷量が少なくなって、大変痛手でした」

垂水市でカンパチの養殖業を営む光美水産社長の川畑洋海さんです。新型コロナの感染拡大は、養殖カンパチにも直撃。去年1年の出荷量は、3割落ち込みました。コロナ禍で、出口の見えないトンネルに迷いこんだような状態が続く中、川畑さんにある提案が持ち込まれます。

(川畑社長)「軸屋酒造さんから焼酎かすをいただいて、えさに入れてみようと思って、試してみたところ、すごく味が甘くてですね」

去年11月から、友人が営む焼酎会社からもらった焼酎かすをカンパチのえさとして試したところ、味に変化が生まれました。

(川畑社長)「みなさん、甘くて臭みもないと言って、こんなの初めてだという人がいっぱいでした」


従来よりも臭みがなく、身の甘みが増したといいます。提供した焼酎会社社長の軸屋麻衣子さんもコロナ禍で飲食店が打撃を受け、焼酎の出荷に影響が出始め、何か手を打てないかと考えての提案でした。

(軸屋酒造 軸屋麻衣子社長)「やっぱり、飲食店さんが閉まっている分、本当に焼酎の消費する場所がなくて」

このカンパチを使って新たな商品を生み出し、販路を拡大できないか。
川畑さんと軸屋さんが枕崎市の食品会社も巻き込んで出来上がったのが、4種類のハーブを混ぜていぶしたカンパチの燻製です。

焼酎で育ったカンパチを、さらに焼酎で味付け。甘いカンパチの身に、しっかりとハーブの味がしみこみ、焼酎のおつまみとしても相性のいい試作品が出来上がりました。

(川畑社長)「本当においしくてですね。まさか、カンパチでこんなくん製ができるとは思っていなかったので、すごくうれしいですね」

(軸屋社長)「本当に3社がいろんな形でコラボができて、しっかりとしたカンパチの味わいと素晴らしい技が入り込んで、焼酎がすごくマッチして、おいしかったです」

新型コロナの収束が見通せない中、川畑さんは、業種の垣根を越えてともに乗り越えて行きたいと、前を見据えています。

(川畑社長)「まだまだ全国的にもカンパチを知らない方がたくさんいると思います。いかにみんなに知ってもらうようにですね、3社で協力して、少しでも全国のみなさんに食べていただければと思っています」

3社のコラボ商品「カンパチのくん製」、5月上旬の販売開始を目指して、川畑さんたちの挑戦は続きます。