鹿児島県知事選 争点 川内原発の安全性は?島しょ防衛にらんだ安全保障との向き合い
鹿児島県知事選挙は、投開票日まであと3日となりました。
知事選に立候補しているのは届け出順に、新人で元自民党県議の米丸麻希子さん、新人で元看護師の樋之口里花さん、現職で2期目を目指す塩田康一さんの3人で、いずれも無所属です。
ニューズナウでは、おもな争点について候補者の主張をお伝えしています。今回のテーマは「川内原発と防衛」です。
川内原発の1号機は1984年7月4日の営業運転開始から40年の期限を過ぎ、きょう7月4日から20年の運転延長期間に入りました。来年11月には2号機も延長期間に入ります。
1・2号機は去年11月、原子力規制委員会から運転延長の認可を受け、その後、薩摩川内市と県も容認しました。しかし…
ことし元日に起きた能登半島地震では、土砂崩れで道路が寸断され、車や人の移動はままならず、志賀原発のトラブルも加わりました。
地震後、1月に薩摩川内市で開かれた国や県、九電などによる運転延長についての住民説明会では、地震リスクについての質問が集中しました。
「4メートル隆起したときに安全性保たれるか?原子力防災のあり方の根本的な見直しが必要では?」
毎年、市内の小学校では、原発事故を想定した引き渡し訓練が行われています。先月は原発5キロ圏の小学校で実施されました。
(母親30代)「実際に(原発事故が)あったときにこんなスムーズな対応でできるのか、もうちょっと危機感を持った実際に近い訓練をしたほうがいいのかな」
40年を超える原発の運転延長に、薩摩川内市民は…
(主婦40代)
「福島第一原発事故もあったし、変わるエネルギーがあればだけれど、致し方ないというところもあったり。子どものことを考えると違うエネルギーがあるならば、それで補ってもらえれば安心」
(会社員20代)
「賛否両論あると思うが、私は良いと思う。安全に運営してもらえればいい」
(主婦60代)
「(政治家が)自分で公約を上げて当選しても、そのとおりにはできない。住民投票だってしないし、しかたない」
(会社員20代)
「(運転延長は)決まったことなので仕方ないとは思うが、良くも悪くも川内原発は市民である以上、いっしょに過ごしていかないといけない。向き合って生活していきたい」
能登半島地震も踏まえ、川内原発の安全性・今後について候補者は…。
(米丸麻希子候補)
「能登半島地震が半島の中で逃げられないというところがあった。みなさんがちゃんと避難できる経路というのをしっかりと計画を立てていく。防災計画しっかりともう一度、これで大丈夫なのかというところを見直していく必要は大いにあると思う」
(樋之口里花候補)
「能登半島地震で避難ルートは7割が壊れたということもあるし、2週間ぐらい孤立している集落もあった。なので、もう避難はできないというのが明らかと思う。いくら避難計画を作っても、それはもう机上の空論に過ぎない。私たちの想定を超えてくる、自然は。もう原発は動かさない。止める、それが一番の安全対策」
(塩田康一候補)
「しっかりとした安全確保ということが最優先ということで、さまざま点検など行ってもらっているので、そういったしっかりとした手続きにそった形で、安全確保をしてもらう。また九州電力・原子力規制庁のほうにも、要請等については専門委員会でもしっかりと確認をしながら、安全対策を進めていきたい」
一方、県内では、中国の海洋進出や台湾での有事を念頭に、防衛強化が進んでいます。西之表市の馬毛島では自衛隊基地の整備が急ピッチで進み、早ければ来年度、アメリカ軍の空母艦載機の訓練が始まるともされています。
また、離島を中心に日米共同訓練も相次ぎ、民間の空港や港の利用も拡大。去年11月には屋久島沖でアメリカ軍のオスプレイが墜落し、乗員8人全員が死亡、日米地位協定の課題も浮き彫りになりました。
「国の専管事項」ともいわれる安全保障。急速に進む防衛強化への対応について3人は…
(米丸麻希子候補)
「隣国との緊張関係は否めない。屋久島でオスプレイが墜落してしまった件、あれが陸に落ちていたのであれば、どうなっていたのであろうということに関しては、すごく私は不安でしょうがない。アメリカにも鹿児島県として知事が直接物申せることも重要なのかなと思う」
(樋之口里花候補)
「際限なく軍備を防衛強化して基地をつくったり弾薬庫をつくったり、そういう風になっていくことで、逆に向こうも安全保障が悪くなっているととらえる。弾薬庫を置くとか、軍事施設を置くということが一体どういうことなのか、県民と共有したうえで県民投票を行いながら、その結果を尊重しながら、検討を進めたい」
(塩田康一候補)
「南西諸島の置かれた安全保障の状況は、大変厳しい状況であるということについては、防衛力強化ということについての対応は理解しうる。MQ9や訓練、弾薬庫、どういう影響があるのか、あるいは住民へのしっかりとした説明責任をていねいに果たしていただきたいという要望を伝えるといったことを今後も続けていきたい」
未来を見据えたエネルギーのありようは?海を挟んで中国などと最前線で向き合う南北600キロの今後は?原発と防衛のあすも選択する県知事選の投票日は3日後です。