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知事選を面白がろう 池上彰氏に聞く!「大統領を決めるようなもの」知事選の意義とは

20日に告示される鹿児島県知事選挙について、ジャーナリストの池上彰さんに話をうかがいました。国内のみならず、世界中を取材してきた池上さんならではの視点から、知事選の意義などについて聞きました。

Q.地方選挙のなかでも知事選が持つ意味・役割とは?
(池上彰さん)
「それぞれの都道府県で大統領を選ぶようなもの」

ジャーナリストの池上彰さん、73歳です。政治や選挙などを数多く取材し、テレビ番組などでの分かりやすいニュース解説でおなじみです。20日に告示される鹿児島知事選を一国の大統領選挙になぞらえます。

(池上彰さん)
「鹿児島のGDPを調べると世界の中で、中東のレバノンやヨーロッパのスロベニア。要するにスロベニア、レバノンと同じぐらいの経済力がある。鹿児島県知事は一国の大統領を選ぶという風に考えると、自分たちで選べることが面白いなって思う」

知事は地方自治法で定められている自治体のトップで、住民の直接選挙で選ばれます。任期は4年ですが、解職請求により任期満了前に職を失うこともあります。知事の仕事は、予算案や政策案の作成、国への要望や、災害時の対応など多岐にわたります。

Q.トップに立つ人に必要なことは?
(池上彰さん)
「一番大事なことは多分、聞く力だろうと思う。聞く力があると言っていた総理大臣もいますけど、どうもきちんと聞いてないんじゃないかと思う。本当に県民が何を思っているのかという本音の部分をちゃんと聞き出すことができるかどうかだと思う」

県知事選にはこれまでに3人が立候補を予定しています。戦後最多の7人が出馬した前回と比べ、有権者にとっては選択肢が減る形ですが、池上さんはメリットもあると話します。

(池上彰さん)
「選択の幅が狭まると言えば狭まるが、行動経済学という最近の経済学の中で、選択のジレンマというのがある。選択肢が広がってしまうと、どうしていいか困ってしまって、どちらにしようか悩んでいると、面倒くさくなってやめてしまうというのがある。ある程度少なくなってくると、逆にきちんと考えて選択できる」

鹿児島県知事選挙の投票率のグラフです。1951年の90.25%をピークに減少傾向にあります。平成に入ってから50%を上回ったのは、2004年の保守分裂選挙や参院選と同時選挙となった2016年など3回で、前回は49.84%でした。

投票で意思表示をしない“お任せ民主主義”に危機感を覚えているという池上さん。EU離脱が決まった2016年のイギリスの国民投票を例に挙げ、一票を投じる重要性を訴えます。

(池上彰さん)
「あの時、大勢の若者たちが実は投票に行かなかった。一方で、EUから離脱した方がいいと思っている人たちは積極的に投票に行った。結果的に今、イギリスはものすごく悩んでいる。経済的に落ち込んでしまって苦しんでいて、EUから離脱しなければよかったって思っている人たちが圧倒的に(多い)、それが今のイギリス。
投票に行かなくたって世の中変わらないよねって思って行かないと後で後悔するかもしれないよっていうこと」

初めて1万人を割った出生数…。止まらない物価高に、隣県で活性化する経済・雇用。池上さんは、「経済対策」こそ鹿児島が発展するカギだと言います。

(池上彰さん)
「(半導体企業の進出で)熊本がすごい勢いで給料も上がっていると、みんなそっちに出稼ぎに行く、そういう危機意識を持ってほしいと思う。本当は鹿児島で就職をして出産し、子どもを育てたいけど働く場所がないとか、それで逃げて行ってしまう人もいると思う。
鹿児島できちんと産業がある、それなりの収入があることをどうやって作っていくのかということが大きな課題。選挙っていうと、どこの国もそう、結局は経済」

鹿児島の未来を、誰に託すのか。「後悔しない選択を」と呼びかけます。

(池上彰さん)
「日本だと選挙になると投票所入場券が送られてくる。自動的に18歳になれば送られてくる。アメリカは自分で有権者登録しなければ、そもそも投票に行けない。権利の上に眠っていたら、結局その権利はないのと同じ。権利は行使してこそ維持できる。鹿児島県の大統領を選べると思うと、ちょっといいかなと思いませんか」

MBCでは、19日午後7時から3人の立候補予定者を迎えた討論会「かごしまの未来誰に託す?」を生放送でお伝えします。