校区新聞で盛り上げる 松尾聡志さん
きょうは、校区新聞を発行して地域を盛り上げる鹿児島市の松尾聡志さんです。
小学校の卒業式。校区の夏祭り。鹿児島市の鴨池小学校校区にあたる鴨池新町、真砂町、真砂本町の様々な話題が掲載された校区新聞、「LLかもいけ」です。
LLには「ロングライフ」や「ライフライン」などの意味が込められています。
月に一度、月末に校区内の全ての世帯と企業などへおよそ6500部が無料で配られています。
「こういう技術を持った人がいるとか楽しみに見ている、ウチも載せてもらえないだろうかと待っているところ」
「ウチの父が出たことがある、Q反響は?(店の前を)通る人や近所の人が見たよって、会話をする」
「LLかもいけ」の制作の中心となっているのが松尾聡志さん(29)です。
真砂本町で印刷物のデザインなどを手がける会社の代表を務めています。
(松尾聡志さん)「情報はあふれているが、本当に必要な身近な情報は知ることができない。(校区新聞に)一緒に集めて掲載することでいろいろな情報がつながり、人のつながりにもつながっていく」
LLかもいけの制作が始まったのはおよそ4年前です。
商店街や町内会で作る、まさご振興会を中心としたメンバーがボランティアで続けています。
松尾さんもその1人で、他のメンバーと一緒に話題探しから取材、記事の執筆、配布まで印刷を除く全ての作業を手がけています。
特に人気があるのが特技や趣味を持つシニア層を紹介する「マサゴンクエスト」のコーナーです。
子どもたちにも読んでほしいと、人気のテレビゲームになぞらえて、掲載する人を「勇者」と紹介するなど工夫しています。
(松尾聡志さん)「年齢を○○歳と書くのではなくレベル○○と書くようにすることで100歳のおじいちゃんだと見られるのではなくレベル100だと見られたらおもしろいのでは」
平日の午後7時過ぎ。メンバーが集まり、次の号の内容を検討する編集会議が開かれました。最近、校区内で火災が発生したことから住民にどう注意を呼びかけるか話し合いました。
(まさご振興会 中園賢一会長)「彼よりだいぶ年上だが書いた原稿も校正される、彼がいないとどうなるんだろうかというぐらいすごい」
編集会議の3日後、松尾さんは鴨池小学校を訪れました。
地域の女性が集まりおよそ1年かけて様々なことを学ぶ、女性学級の閉講式と学習発表会の取材です。
(鴨池小校区女性学級 清水正子女性学級長)「勝手を言って、きょう空いてる?良かったら(取材を)お願いねと言う。彼が本当によくしているのであれだけの新聞ができているのかなと思う」
様々なシーンを写真に収める松尾さん。すかさずスマートフォンで記事を書きます。事務所に戻るとこれぞという写真を選びます。
子どもからお年寄りまで幅広い世代の取材を心がける松尾さん。LLかもいけをきっかけにした地域の新たな動きや反応に少しずつ手ごたえを感じています。
(松尾さん)「町内会でわかれていた行事が一つにまとまって、大きな行事に変わったりとか。新聞をきっかけに、ちょっとしたイベントが行われたり商店街の企画が生まれたり、街づくり自体のきっかけになっている部分も出てきているかなと思っている」
松尾さんは今後、ほかの地域でも校区新聞を発行していきたいと考えています。
(松尾さん)「この鴨池で培ったノウハウを他の校区や他の地域に広げていって鹿児島全体が盛り上がって情報が共有できる街になればいいなと思っている」
校区新聞をきっかけに地域が元気になり、人々の輪が広がるように。そんな思いを込めた松尾さんの挑戦は続きます。