しょうゆで地域活性化 いちき串木野市 吉村康一郎さん
きょうは、ふるさとのしょうゆを発信し、地域活性化につなげようと奮闘する老舗醸造メーカーの社長、吉村康一郎さんです。
いちき串木野市の国道3号沿いでひときわ目を引く黒い建物。昭和2年創業のしょうゆメーカー「吉村醸造」です。
「サクラカネヨ」のブランドを展開するしょうゆの老舗ですが、料理この日、工場内にあるキッチンで行われていたのは、お菓子づくりです。
(吉村さん)「醤油風味のシフォンケーキを作っています。そろそろまた新しいことを何かしたいなと思って」
こう話すのは、4代目の社長・吉村康一郎さん(35)です。
独特の甘い風味がある鹿児島のしょうゆの味の新しい魅力を引き出し、発信しようと挑戦を続けています。
5年前、国道3号沿いにオープンした直売所では、これまでにもしょうゆ味のソフトクリームや特製のしんこだんごなど、鹿児島のしょうゆを活かした商品を開発、販売してきました。
そして今回、新たに挑戦するのがしょうゆを使った「シフォンケーキ」です。
よく行く飲食店の店主が考案してくれたという醤油のシフォンケーキ。そのレシピをもとに、ケーキづくりを任されたのは21歳の若手社員、立石衿那さん(21)です。
(立石衿那さん)「甘露入れます!濃い口醤油を。けっこう甘い醤油なので、ケーキとかにも合うんだと思います」
ケーキに添えるソースもしょうゆベース。吉村さんは何度も味を確認し、納得いく味に仕上げていきます。
そして今回、完成した「醤油シフォンケーキ」が、こちら。
(立石さん)「他にはないシフォンケーキだと思います。いろんな人にはやく食べてもらいたい」
先週土曜。早速、直売所でお客さんに販売されました。しょうゆを使ったシフォンケーキ、受け入れられるのでしょうか。
「醤油の風味がする。案外合ってます、いい感じで」「そういうのができるの?って思った」「あんまり甘くなくていい味」
味も好評。無事に新商品のスタートを切りました。
吉村さんのふるさとを発信する取り組みは、しょうゆだけに留まりません。
いちき串木野に地域の新たなスポットを作ろうとしています。
この日、案内してくれたのは、工事中のデッキです。
幼いころから見ていた風景。その美しさに気づいたのは、ふるさとを離れた時でした。多くの人にこの景色を見てもらい、感じてほしいことがあります。
(吉村さん)「若いときって鹿児島って田舎だし何もないなって思ってて、高校卒業して関東に出たんですね。関東にでて、出ることによって鹿児島の良さに気づいたり、あと、実際に住んでみて、まだまだ良いところってたくさんあるんだなっていうのを今感じていて。小さなことかもしれないんですけど、こういったことをしていって、鹿児島の魅力にどんどん気づく人たちが増えて、ぜひ鹿児島に残って鹿児島を盛り上げていってほしいなと思います」
何もないと思っていたふるさとにあった「味」と「風景」。その力を信じ、吉村さんはふるさとを発信する取り組みを続けます。
(吉村さん)「楽しみがたくさんですね、ほんと。楽しいです」