明治元年11月28日 天皇軍艦視察・甲鉄艦交渉に大隈
東京では、天皇が新政府の軍艦に初めて乗り、視察を行いました。
天皇はきょう品川沖に碇泊中の軍艦「富士山丸」を視察しました。天皇が新政府の軍艦に乗るのは初めてです。
視察に同行した大久保利通によりますと、「富士山丸が動き出すと、近くにいたアメリカの軍艦から祝砲がとどろいた。富士山丸も祝砲を発し、誠に雄々しかった」ということです。
天皇は10月に新政府の役所である軍務官に対し、「海軍・陸軍は第一の急務で、速やかに基礎を確立すべし」と命じていますが、海軍力は、蝦夷の旧幕府軍にも劣っているのが現状です。そんな中、焦点となっているのが、旧幕府がアメリカから購入した鉄の軍艦、甲鉄艦です。軍務官によりますと、甲鉄艦は横浜に係留されたままで、中立を保つアメリカは旧幕府軍からの引渡し要請を拒む一方、新政府側からの購入の申し出も断っています。
攻撃力と防御力を併せ持つ甲鉄艦の入手は重要事項で、外国官判事で佐賀藩の大隈重信がアメリカとの交渉にあたっているということです。