現代版「伊能忠敬」は女性サイクリスト デジタルも駆使して…(2023年7月5日放送)

『伊能忠敬』といえば、江戸時代に日本全国を測量して地図を完成させた人物ですが、そんな偉業の“現代版”に挑戦している女性サイクリストがいます。自転車で全国の海岸線を走り、デジタル技術で日本地図を作成しようというプロジェクトです。鹿児島での「地図描き」に同行しました。


(サイクリスト RANさん)「綺麗な桜島が拝めて、本当に良かったです!」

福岡県出身の「RAN」さん。画像投稿SNSではおしゃれな自転車生活を、ネット上の音声コンテンツ「ポッドキャスト」では本業の医師の視点を生かしたサイクリングの知識などを発信しています。

そんなRANさんが挑戦しているのがその名も「伊能忠敬プロジェクト」。

(RANさん)「いま鹿児島は、桜島の下半分だけ終わっている状態です。まだ錦江湾がいびつな形をしているので、今回はこの地図の錦江湾を完成させたいと思います」

自転車で走った道をGPSで記録し、それを地図上に反映させて日本全体を浮かび上がらせるプロジェクトです。
RANさんはこれまでも、医師の仕事の隙間をぬってロードバイクで全国各地の海岸線を走り、美しい写真とコメントをSNSで発信してきました。

今回は桜島をスタート。ぐるりと海岸線を走って鹿児島市を目指し、錦江湾を地図に描き出します。桜島では灰の洗礼も浴びました。

(RANさん)「3mあった鳥居が、2m埋まってしまったんですね。1日で、ですよね!?これ(噴火)が100年くらい前に起きたということですよね。びっくり!」

今回のライドには、大きなポイントがありました。伊能忠敬が測量した頃にはつながっていなかった、桜島と大隅半島。RANさんが時代を超えてその地図を描き出します。

(RANさん)「ついに!伊能忠敬を超えた!超えたって言っていいのかな?」

軽快にペダルを踏むなか。

(RANさん)「ちょっとお腹すいてきたな!」

サイクリングの楽しみの一つ、その土地の美味しいものを食べることも。

(RANさん)「びわソフト!フルーティーな味がします。おいしい!」

サイクリストにとって、鹿児島の印象は・・・。

(RANさん)「起伏もありながら真っ平らな道もあり、何より景色がいいですね。桜島も楽しいですね。活火山のすぐ脇を走れる道は日本でここくらいしかないですよね。元々島だったところが、100年くらい前の活動で地図が変わって半島とつながったのを、リアルな道として走るのはグッと来ました」

旅の途中では出会いも。

「これ、米麹の風味がして美味しいんですよ」
「これ文政6年?」
「今年でちょうど200年なんですよ、お店ができて」
「食べると麹の香りが抜けていきますね。おいしい!」

鹿児島を訪れたのは3回目。この日、最後は雨が振るなかおよそ90キロを走りきり、鹿児島の地図を描き切りました。

(RANさん)「一番楽しい地図描きでしたね。走りやすくて、けどアップダウンもちゃんとあって、走りごたえのあるルートでした」「なくなく諦めた山間の道とか街とかもたくさんあって、行きたいなというところもたくさんあるので、日本地図を書き終わったら、また違う目的の旅を始めそうです」

つねに新しい事を探求しながら『現代の伊能忠敬』を目指すRANさんの挑戦は続きます。

7月5日時点で、日本の海岸線総延長およそ14000kmのうち、9000kmを走破。7割ほどが終わっているということです。「いつ描き終わるかはわからないけど、挑戦を続けていきたい」ということでした。
GPSを使った測量プロジェクト、伊能忠敬さんはどう思っているのでしょうか。