新型コロナ ひぼう、中傷の人権侵害相談が増加
鹿児島県内で新型コロナウイルスのクラスターが発生した今月に入り、ひぼう・中傷を受けたという人権侵害の県への相談が、増加していることが分かりました。指宿市では、無言電話がかかってくるなど、嫌がらせの被害も出ているということです。
県人権同和対策課によりますと、新型コロナウイルスに関連した人権侵害の相談件数は、電話での窓口を開設した5月に13件、6月に18件でしたが、鹿児島市のショーパブでクラスターが発生した今月に入り増加し、9日までの9日間で30件が寄せられています。
県内で78店舗を運営するスーパー、「A・コープ」では今月3日、志布志市の店舗の従業員3人が新型コロナに感染したと公表しました。3人は、クラスターが発生した鹿児島市のショーパブを訪れていました。関係者によりますと、この公表直後から「別の店舗でも従業員が感染した」という、うその情報がインターネット上で拡散され始めたということです。さらに、感染者が確認されていない指宿市の店舗の従業員の家族に無言電話がかかってくるなど、嫌がらせの被害も出ているということです。事態を重く見た指宿市は「市内のA・コープの従業員が感染した事実はない」とし、ホームページ上で、人権への配慮と正しい情報に基づき冷静な対応を呼びかけています。
ほかにも、SNS上では感染者の個人情報を特定し、公開しようとする投稿が相次いでいるとして、鹿児島市の担当者は市民に対し、冷静な対応を呼びかけています。
(鹿児島市保健所 成尾彰参事)「人権侵害というのは言語道断。(ネット上での書き込みを見た)当事者が心を閉ざし、行動歴や濃厚接触者の情報を提供してもらえなくなる。(情報が提供されなければ)感染拡大防止に重大な障害となる」