対策強化宣言に専門家「アピール効果の一方で課題 高齢者対策・検査活用に限界も」

今回の対策強化宣言について、感染症の専門家は、県民に感染症対策を意識づける点で一定の効果は期待される一方で、課題もあると話します。

(鹿児島大学大学院 西順一郎教授)
「県民に感染対策をアピールする点では意義があると思う」

感染症が専門の鹿児島大学大学院・西順一郎教授です。今回、初めて出された「BA.5対策強化宣言」について、一定の評価をしながらも、高齢者などへの呼びかけを強調したことに疑問を示します。

(西教授)
「感染が広がっているのは、子どもたちとその保護者の世代や若い人なので、高齢者に行動の自粛を求めるというのは筋違いな印象」

また、PCR検査の活用も促していますが。

(西教授)
「高齢者に会う前はPCR検査等をということだが、オミクロン株になって発症前日にPCR検査をしても、ほとんどが陰性になる。したがって会う前にPCR検査をしたからと言って、感染してないとは全く言えない。
むしろ陰性だということで、自分は感染していないと思い込んで感染対策がおろそかになることのほうが怖い」

そのため、検査に頼るばかりでなく、リスクの高い行動を避け、自分自身が健康状態をしっかり把握することが大切になると話します。

(西教授)
「お盆を迎える時期だから、BA.5対策強化宣言だけで感染が収まるとは思えないが、少しでも周りの人に広げないという意識を持ってもらうこと、ワクチンを打てる5歳以上のお子さんはワクチンをしっかり打っていただく以外には流行を収めていくことはできない」