県内感染者の6割集中の鹿児島市 下鶴市長「経路より感染者特定に注力」

鹿児島市では新型コロナウイルスの感染者が急増していて、県内のおよそ6割を占め、ほかの市町村と比べても突出して多くなっています。その鹿児島市では、1月中旬からクラスターの認定を行っておらず、どのようなケースで感染が広がったのか、市民から見えづらい状況が続いています。

(下鶴隆央市長)「現在、鹿児島市は非常に多くの感染者が連日出ていて、第7波とも言われる感染拡大の厳しい状況を迎えている」

鹿児島市では先月から感染者が増加傾向に転じ、直近1週間は1日に500人台の日も相次いでいて、27日は県内で発表された882人のうち、59%にあたる521人が鹿児島市発表分でした。

拡大する鹿児島市での感染。しかし、その詳しい感染経路は分かっていません。

(下鶴市長)「詳しい感染経路は把握できていない。感染者の年代を見ると10代、10歳未満と30代、40代の親世代を中心に多くの感染者が出ていることから、家庭内感染などで感染が広がっていると考えている」

感染経路が詳しく分かっていないのは、市が今年1月中旬から感染者の行動歴の調査対象の範囲を、発症前14日間から発症前2日間に短縮したためです。この調査縮小により、鹿児島市では1月17日を最後にクラスターの発表はありません。しかし一方でこんな声も・・・。

(記者)「Q.鹿児島市内で感染者が増えているが、市民としてどう思う?」

(40代夫)「怖い。どこで感染したか分かっていない、周りで感染した人は」

(30代妻)「スーパーの買い物で感染する可能性もある。経路を分かっていた方が爆発的に増えないのではないか」

鹿児島市は感染経路の調査を見直しの理由は、保健所の限られた人員の中で、検査が必要な接触者の洗い出しに力を入れるためとしています。

ただ、感染経路が分かった方がどういう状況で感染しやすいのかわかり、対策につながるのではとの考え方もあり、感染者の年代や性別、感染した状況やワクチン接種歴など細かい情報をホームページで公開している広島県のようなケースもあります。

感染経路の調査はどうするべきなのか、改めて下鶴市長に聞くと・・。

(記者)「Q.行動調査の期間短縮が感染拡大の要因の1つとして考えられるか?」

(下鶴市長)「クラスター認定を厳密にしていくためには、おおむね2週間から1か月さかのぼり、本当にそこで広がったか特定する必要がある。クラスターを特定するより、今感染している人を特定して広がらないようにすることに、すべてのマンパワーを投入している」

市は27日から保健所の態勢を80人ほど増やし、およそ260人での対応を始めましたが、引き続き感染者の特定に力を注ぐ考えです。

一方、3回目のワクチン接種を加速させるため、27日からは市内109の医療機関で当日予約でも接種できるようにし、さらにこのうち20の医療機関では予約がなくても接種できるようにしました。
また、動画などを使って特に感染が拡大している若い世代への呼びかけを強化していく方針です。

ゴールデンウィークが迫る中、感染拡大の“震源地”となっている鹿児島市で今後、感染者数がどう推移していくのか、注目されます。