現場の医師「デルタ型 若い世代短時間で悪化も」

鹿児島県内では10日、9日と新型コロナであわせて2人の死亡が発表されました。年齢に関係なく短時間で症状が悪化するケースもある中で、患者の治療にあたる医師は「若い人も他人事と思わず、感染対策を徹底してほしい」と訴えます。

(鹿児島大学病院 新山修平医師)「若い人が“対岸の火事“という感覚でいると、(結局)自分がかかってしまうことになる」

若い世代に警鐘を鳴らすのは、鹿児島大学病院救命救急センターの副センター長で、コロナ患者の治療にあたっている新山修平医師です。病棟では現在、若い世代の入院が増えているといいます。

(鹿児島大学病院 新山修平医師)「60代以上はワクチン接種が進んできたが、(未接種の)20~40代の陽性者が増えている。若い人でも症状が悪化」

新型コロナはこれまで、基礎疾患のある高齢者が特に重症化しやすいとされてきました。実際に、県内で入院しているコロナ患者の数をみると、今年1月時点では60代以上が全体の6割で、30代までの若い世代は2割でした。

しかし、その後、高齢者のワクチン接種が進んだこともあり、30代までの若い世代の入院が増え、今月4日時点では全体の半数以上を占めています。

先月29日以降、重症者はゼロですが、新山医師によりますと、県内では今、20代から30代の若い世代が急激に症状が悪化するケースが増えているといいます。

(鹿児島大学病院 新山修平医師)「鹿児島市でも起こっているのは、ホテル療養中の人が、最初は大きな症状なくても、数時間後に急に『息が苦しい』と訴える人が増えている。変異型(デルタ型)になって、(容体変化の)スピードが速くなっている」

重症化リスクが高いとされるデルタ型のウイルス。特に注意が必要なのが、基礎疾患がある人です。

(鹿児島大学病院 新山修平医師)「若くても糖尿病や高血圧に人が相当数いる。若いから大丈夫というわけではなく、コロナで急速に症状が悪化する。かなり重篤化するおそれがある」

しかし、新山医師は、基礎疾患がなくても注意は必要とし、ワクチンの接種割合が低い若い世代の「早めの接種と感染予防が特に重要」と話します。

(鹿児島大学病院 新山修平医師)「(基礎疾患がなくても)コロナの症状が悪化する過程で、(免疫低下し)別の病気が同時に起こる場合がある。多臓器不全などいろんな病気を起こす可能性がある。自分がいつかかるか分からない。若い世代はワクチン接種もあまり進んでないので、自分を律する、きちんとやるべき感染対策をやってほしい」