鹿児島県内クラスター相次ぐ 専門家「ワクチン接種後も対策を」

鹿児島県内では、先週末から新型コロナの感染者集団=クラスターの発生が相次いでいます。ワクチン接種が進む中での発生に、専門家は「接種を終えた後もマスク着用や消毒などの対策は必要」と話します。

23日、与論町の飲食店で開かれた会食でのクラスター発生が発表されました。県内45例目、41日ぶりのクラスター発表で、25日までに12人の感染が確認されています。

さらに25日は鹿児島市が医療機関でのクラスター発生を発表。市は医療機関名を明らかにしていませんが、米盛病院がホームページなどで院内でのクラスター発生を公表しています。

米盛病院や市によりますと、クラスターは回復期リハビリテーションの病棟で発生し、25日までに入院患者9人、職員3人のあわせて12人の感染が判明。市は今月8日前後に最初に発熱した入院患者から院内に広がった可能性が高いとしています。

入院前にPCR検査が行われていたというものの、感染症の専門医は、人の出入りが多い医療機関などでは、外部からの持ち込みを完全に防ぐことは難しいと指摘します。

(済生会鹿児島病院・久保園高明院長)「医療機関は外部から人が入り込んでくる。(外部からきた人に)症状を聞いたりPCR検査をしたりするが、ウイルスがいる(感染している)人でもウイルス量が少なければPCR検査で引っかからないことがある。オリンピックのように毎日検査をするのも非現実的で、難しい課題」

県内ではワクチン接種が進みつつあり、医療従事者は希望者の100%、65歳以上の高齢者は2回目が67.7%となっています。しかし、今回のクラスターでは、医療従事者や70代から90代の高齢者にも感染者が出ています。

市や病院は、今回の感染者がワクチンを接種していたかどうか明らかにしていませんが、久保園院長は、2回の接種を終えても基本的な感染対策を怠らないことが重要と話します。

(久保園院長)「(ワクチンの有効性の)95%という数字は、発症しない割合で、感染しているかどうかは別の問題。2回接種を受けた人から他の人に感染させた報告もある。この社会、鹿児島県で感染症に出くわす確率が低くなるまでは、今まで通りのマスク、手洗い、密を避けることを続けていくことが望ましい」

なお米盛病院では、クラスターが発生した病棟とは別の病棟で、外来や入院、手術、24時間対応の救急外来を通常通り受け付けています。