医療現場は今… ”ひっ迫”懸念も

 

鹿児島県内で感染者が急増する中、懸念が高まっているのが、医療の”ひっ迫”です。県内の人口10万人あたりの療養者数は増加し続けていて、12日時点で29.3人と、「感染者の爆発的拡大」を示すステージ4の水準に達しています。そして、県内50医療機関に378床ある病床の使用率も57.1%と、こちらもステージ4の水準に達しています。感染拡大が続く中、医療現場では危機感が高まっています。

コロナ患者用の病室が並ぶ、鹿児島市内の病院の様子です。病棟の一部をコロナ専用に変え、軽症患者を受け入れていますが、満床となっています。県からコロナ用の病床を増やしてほしいと要請が来ていますが、コロナ以外の診療もあり、病院関係者は「協力したい思いはあっても、人材も病室も限られ、簡単ではない」と頭を悩ませています。

懸念の声は別の医療機関からも。

(鹿児島医療センター 田中康博院長)「県内で毎日40~60人の新規患者が出ているので、はっきり言って病床が足りない」

コロナ専用の病床は10床ありますが、ゴールデンウィーク以降は全て埋まっています。14日からさらに5床増やしましたが、今後を懸念しています。

(田中康博院長)「今週末から来週は、ゴールデンウィークの影響で(感染者が)出てくると思う。相当覚悟しておかないといけない。(鹿児島市の)療養者用ホテルも満室に近くなっている」

センターにはコロナ病棟の看護師が25人いますが、感染症の専門医はいません。通常の診療もある中で、コロナ病床を簡単に増やせないと話します。

(田中康博院)「各病院ベッドをあければすべて回るわけではない。スタッフが必要になる。これ以上コロナ患者が増えれば、ほかの医療を制限し、それで命を落とす人も出てくる」

そして、もう一つ懸念しているのが、若い世代の重症化です。県によりますと、人工呼吸器が必要な中等症以上の患者は、今年1月は全員50代以上でしたが、今月3日時点では30代と40代で4割近くを占めています。

(田中康博院長)「以前は若い人は無症状が多かった。肺炎もほとんど無かった。ところが30歳で肺炎が増え、もう1つ特徴的なのが、小児の感染。(以前は)ほぼゼロだった。変異ウイルスの影響だと思う」

病床不足に陥らないために、田中院長は、感染が広がる若者を含めて対策を徹底してほしいと訴えます。

(田中康博院長)「東京・大阪より医療資源は少ない。ちょっとした数の患者で医療崩壊を招きかねない。若いからコロナは軽症で終わることはまずない。個人の感染予防をきちんとやってほしい」