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ふるさと新時代 休業したレジャー施設を歌声で復活「平成の大合併で町が端っこに」住民の奮闘 鹿児島

今から20年前、鹿児島県内で始まった「平成の大合併」で、ふるさとはどう変わったのか?ニューズナウでは「ふるさと新時代」と題して、地域の今を見つめる特集をシリーズでお送りしています。2回目は、南九州市頴娃町です。

頴娃町は2007年に知覧町・川辺町と合併し、南九州市となりました。合併後、休業してしまったふるさとのレジャー施設を自分たちの手で立て直し、地域を盛り上げる新たな拠点にしようと奮闘する人がいます。

南九州市頴娃町のレジャー施設「夢・風の里アグリランドえい」。4年前に大部分が休業し、ひと気の少なくなったこの施設で、先週日曜に開かれたのが…月1回の音楽ライブです。この日は、鹿児島・宮崎のバンド6組が会場を盛り上げました。

(観客)
「楽しさが伝わってきて、私も超楽しかったです」
「こういうイベントがあると、若者が来やすくなる」

イベントを企画したのは、旧頴娃町で生まれ育った浜田浩一さん(60)です。

(浜田さん)「この先僕らが頑張ることで、人がどんどん増えていくんじゃないか」

合併前の旧・頴娃町がつくったアグリランドえい。オープンは1995年で、全国でリゾート施設の建設ブームが起きていたころでした。

東京ドーム6.6個分の高台に、大きな遊具にゴーカート、ゴルフ場などがあり、ピーク時にはおよそ15万人の来園者でにぎわいました。しかし2019年には2万人まで減少、2020年から休業しています。

(浜田さん)「ずっと荒れて草だらけ。ちょっとずつでも手を入れないと」

南九州市は2007年に知覧町・川辺町・頴娃町が合併して誕生しました。当時の人口はおよそ4万2000人でしたが、少子高齢化などからこの17年で2割以上減少。

減少幅を町ごとにみると、行政機能が集まる知覧町や、鹿児島市とアクセスしやすい川辺町は2割にとどまっていますが、頴娃町は合併前から3割減りました。65歳以上の高齢者の割合も43.9%と最も高くなっています。

(浜田さん)「お店は無くなっていく。寂しくなっていく」

旧頴娃町出身の浜田さん。ふるさとの変化を幼いころから見つめてきました。

(浜田さん)「合併とかで端っこになった町には、何も残らない。それだったら、自分たちでもう1回、何か作ろう、元気になることをしよう、というのがぼくらの発想」

高校時代に友達とバンドを組んで地元を中心に活動してきた浜田さん。音楽ライブで町を盛り上げようと29歳の時、メンバーらとお金を出しあい、手作りの野外ライブステージをつくりました。
県内外のバンドを招いた初めてのライブは1000人の観客を集め、大成功。しかし、その後、活動は途絶えてしまいます。

合併後、元気のなくなったふるさとを再び音楽で集える場所を復活させようと、2016年、現在のNPO法人わくわくプロジェクトを立ち上げました。
南九州市に交渉し、休業中のアグリランドの施設を200人が入るライブハウスに改修しました。

(浜田さん)「これはもともとバーベキューハウスの座敷部分。壁を取り払ってステージを作った。廃校の学校からもらったカーテンをかぶせて、見た目をステージにしている。件費がかかってないので、材料代だけでも10万円もかかっていない」

地元の建設会社に務める浜田さん。訪れた人が宿泊できるロッジを4月にオープンする予定で、準備を進めています。

(30代の部下)「仕事の上司というより、小さい時から知っているおじちゃん。地元の人間としては尊敬」

(浜田さん)「仕事を抜けることが多いので迷惑をかけていると思いながらも、みんながこう思ってくれたら、やりがいはある」

現在、アグリランドは休業中ですが、土日祝日限定で乗馬体験や、キャンプ場をオープンさせるなど、若い世代を呼び込む仕掛けづくりが実り、去年、施設を訪れた人は2000人を超えました。

大好きな音楽を通して進める頴娃での拠点づくり。訪れた人たちの印象も変わりつつあります。

(観客)「地方でイベントがあれば、いろんなところに足が出向くのでいい」

(ライブ出演者)
「このイベントがあるまで来たことがなかった。こんなすてきな場所があるんだなと」

「頴娃の地名しか知らなかったが、ここに来たら音楽をしているみんながいる」

平成の大合併を含め、時代とともに移ろうふるさとの姿。還暦を迎えた浜田さんは、次の時代を見据えています。

(浜田さん)「自分が始めたころは全然道がなかった。でも歩き出して30年やると、後ろについてくる人たちが道を広げていってくれた。上手く次の世代につなげることが僕の役目」