コアラも“推せる”鹿児島市が始めたクラウドファンディング型ふるさと納税とは
鹿児島市は、今年度クラウドファンディング型ふるさと納税を導入しました。その一つがコアラのエサ確保です。
寄付の際に「返礼品」を選ぶのではなく、応援したい「プロジェクト」を選ぶこの取り組み。目標額1000万円で、期限はあと1か月を切りました。その狙いや進捗状況は?
鹿児島市の平川動物公園といえば、飼育頭数が日本一のコアラ。現在、16ひきが来園者を楽しませています。
(来園者)「ここに来ないと見ることができないので、本ではなく実際に目で見たらいいかなと」
人気の一方で、多くの手間や費用がかかるコアラ。ユーカリの葉の柔らかい新芽部分だけしか食べず、多い日には1日1キロほど食べます。16ひき全体で年間33トンのユーカリを消費します。
(飼育展示課 村上浩一さん)「ここに2千本ぐらい植えています」
園内にあるユーカリの農場です。安定確保のため、県内およそ20か所で、2万本以上を栽培。ただ、ユーカリは気候の影響を受けやすい上、近年は人件費や輸送コスト上昇で、費用がかさみ苦労しています。
(飼育展示課 村上浩一さん)「例えば昨年、すごい寒波が来てユーカリが被害を受けたが、お金があることで安定的に供給できる。専門の業者に供給が難しくなった分を補てんできる」
そこで、鹿児島市が始めたのがクラウドファンディング型ふるさと納税です。ふるさと納税は通常、「返礼品」を選んで寄付しますが、「クラウドファンディング型」は、「プロジェクト」の中から自分が共感したものに寄付します。
自治体が力を入れている政策を知ってもらう機会になり、寄付の活発化も期待できます。
市が現在、民間のふるさと納税サイト「ふるさとチョイス」で寄付を募っているプロジェクトは4つあります。
▼待機児童をゼロにするために保育士への就職奨励金など
▼次世代を担うグローバル人材の育成
▼桜島に整備される新しい学校の魅力向上
▼飼育頭数日本一の平川動物公園のコアラのエサの安定確保
期間は、エサの確保が来月2日、そのほかは今月28日までですが、おおむね順調に集まっていて、目標金額の1000万円に達しなくても寄付されます。寄付にはこんなコメントも添えられていました。
「大好きなコアラ達が安心してこれからも生きていけますように。少しでも力になれたら幸いです」
「一度は行きたいと思っています。応援しています!」
(飼育展示課 村上浩一さん)「温かい言葉をもらって飼育員も励みになっている。支援してくれる人に感謝の気持ちでいっぱい」
取り組みは各地で広がりをみせていて、クラウドファンディング型ふるさと納税は昨年度、全国1786自治体のうち、2割ほどが導入。鹿児島県内では、指宿市で砂むし温泉の崩落したのり面復旧工事、かのやばら園のリニューアル費用などで活用が始まっています。
鹿児島市は今年度は試験的に導入しましたが、来年度の実施を検討しています。
(市ふるさと納税推進室 石宮聡室長)「市への関心を高めてもらい、できれば寄付をして応援してもらうのが狙い。思った以上に反応をもらっている。来年度に向けて、実施する方向で検討していけたら」
返礼品の魅力だけでなく、そのまちを応援してくれるファンを継続的に増やせるか。ふるさと納税の新たな活用に自治体の取り組みが始まっています。