「卵巣年齢知っていますか?まずは自分の身体を知って」不妊治療専門医に聞く

「22.7%」、これは、不妊の検査を受けたことある夫婦、または現在受けている夫婦の割合です。晩婚化などにより不妊に悩む夫婦が増える中、医師がまず知って欲しいと訴えるのが「卵巣年齢」です。

鹿児島市高麗町のキラメキテラスにこの秋、開業した「竹内レディースクリニックART鹿児島院」です。クリニックでは、プライバシーに配慮した診察室やカウンセリングルームが設けられています。

(記者)「こちらは内診室です。イスに座って、向こう側から卵巣や子宮の様子を超音波を使ってみてもらいます。身体の中の様子は、こちらのモニターに映し出されて見ることができます」

カーテンの向こうにある医師側のモニターと同じ映像を患者もリアルタイムで見られ、心理的負担を軽減する工夫も。

総院長の竹内一浩医師(68)です。竹内医師は姶良市の竹内レディースクリニックで院長を務め、35年にわたって不妊治療に携わってきました。体外受精や顕微授精といった治療を経て妊娠した人は、去年までの27年間で、5474人に上ります。

その竹内医師がまず知ってほしいというのが、「卵巣年齢」です。卵巣年齢は卵巣の中にある卵子の数を示す指標で、個人差が大きく、実年齢と乖離していることもあると言います。

(竹内医師)「女性としては私は普通に月経があるから、生理も順調なのでいつでも産めると思っている人が多いが、それとは関係ない。気軽に早く来ていただけたら良かったのにという患者は多い」

卵子は、年齢とともに数が減ったり質が落ちたりし、妊娠率も低下。体外受精のために卵巣から卵子を取る時も、数が少ないと、妊娠に適した卵子が取れない場合があります。

卵子がどれだけ残っているのか。血液に含まれる「AMH」と呼ばれるホルモンの濃度を調べることで推計することができます。こちらの医院では、AMH検査が保険適用外の場合、6000円で受けられ、1時間ほどで結果が出ます。

こうした検査を通じて、まずは自分の身体を知ることでその後のライフスタイルも変わってくるため、まだ妊娠を考えていない若い世代でも手軽に検査を受けてほしいと話します。

(竹内医師)「自分の卵巣年齢を知っていただきたい。結婚しないと受診してはいけないということではない。興味を持っていただいて、自分の身体にどんなことでもいいから気軽に相談していただきたい」

厚労省の調査によりますと、第一子を出産したときの母親の平均年齢は、2021年が30.9歳。46年前から5歳以上高くなっています。
そして、生殖補助医療によって誕生した子どもの割合は年々高くなり、2021年に生まれたすべての赤ちゃんの8.6%と、過去最高になりました。

(元患者・45歳)「不妊治療をするのが何か他人事というか、自分には縁がないと思っていた。自然でできたらいいなと思っていた」

元患者の女性です。36歳のときから5年間、県外の病院で治療を受けるも期待する結果は得られず、竹内レディースクリニックに転院。治療開始から9か月で妊娠、42歳で待望の赤ちゃんを出産しました。女性は、不妊治療への考え方が変わったと話します。

(元患者・45歳)「自然にできないから女性としてどうなのかなとか、変な風に捉えることがあったが、不妊治療をすることがネガティブなことではなく、先生や看護師、スタッフと一緒に向かい合っていく、もちろん主人も一緒に。(妊娠・出産に)向かい合っていくひとたちが増えるのはポジティブに捉えていいのかなと」

さらに、不妊の原因は女性側だけでなく、男性側にあるケースもあるため、夫婦そろっての受診をすすめています。

(竹内医師)「不妊治療はどちらかが悪いということではなく、あくまで夫婦で一単位という考えて治療していただきたい」