鹿児島県内初確認の新たなコロナ変異株… 専門家はどう見る
“第5波”ともいわれる国内での感染拡大の要因とされているのが、従来より感染力が強いとされる「デルタ型」の変異ウイルスです。こうした中、鹿児島県内で先週末、これまで南アフリカで確認された「ベータ型」やブラジルで確認された「ガンマ型」で見られてきた変異をあわせもつ「デルタ型」のウイルスが、初めて見つかりました。
国内で初めてとみられるこのウイルスはどのようなものなのか?そして、専門家はどう見ているのでしょうか?
(西教授)「デルタ型でこの変異があるのは日本では聞いたことがない。珍しい」
感染症が専門の鹿児島大学大学院の西順一郎教授も珍しいと話す別の変異も併せ持つ「デルタ型」の変異ウイルス。県内で確認された変異ウイルスはこれまで、イギリスなどで確認された「アルファ型」が中心でしたが、6月をピークに減少。これに替わって増えつつあるのが、県内では5月に九州で初めて確認されたインドの「デルタ型」です。
そして、先月30日。県内で今回新たに確認されたのが、デルタ型に別の変異が組み合わさったウイルスです。
そもそもウイルスは、表面にある突起状のたんぱく質で人の細胞にくっついて中に入り込み、感染します。変異ウイルスは、この感染を引き起こす突起状のたんぱく質が変異したものです。
もともとデルタ型は突起の部分に感染力を強め、重症化リスクを高め、免疫を回避する働きがあるとされる「L452R」という変異がありますが、今回のウイルスでは「E484K」という変異も加わりました。
これは南アフリカで確認されたベータ型やブラジルで確認されたガンマ型にも見られた変異で、免疫を回避する働きがあるとされます。
西教授は、ともに免疫を回避する働きがある「L452R」と「E484K」の変異が組み合わさったことで、「理論上、ワクチンの効果をさらに弱めるおそれが考えられる」といいます。
(西教授)「ワクチン接種が進んでそこから逃れようとするのはウイルスの自然の働き。ワクチンでできる抗体が変異のために結合しにくくなる(効果が弱まる)可能性があり、注意が必要」
今回の変異ウイルスは、アメリカやメキシコで100例ほど確認されていますが、県によりますと、日本国内では初めてとみられます。鹿児島で見つかった背景について西教授は…。
(西教授)「鹿児島はデルタ型が九州で初めて見つかって(デルタ型の)割合も広がったので、(変異株の)スクリーニング検査の割合は全国トップクラス。その中で新たな変異型が1つ見つかるのは不思議なことではない」
その上で仮にワクチンの効果を弱めるおそれがあっても、「感染や重症化を防ぐ上でワクチンの重要性は変わらない」と話します。
(西教授)「ワクチンは変異によって効果がゼロになることは絶対ない。今あるワクチンがベストで、ある程度の有効性も明らかなので、接種を進めることが大事」
そして、ウイルスは変異し続けていて、今後、どのような変異型が出てくるか予測は難しいとしながらも、「過度に不安になる必要はなく、基本的な感染対策の徹底を続けてほしい」と呼びかけます。
(西教授)「出てきた変異型1つに左右されず、すでに広がっているデルタ型に対する対応を考えてほしい。そもそもデルタ型自体が非常に脅威であると認識してほしい。若い人もかぜで済むと考えず、重症の肺炎にある可能性があり、感染リスク高い行動を控えてほしい」