明治元年10月16日 西郷 兵の戦勝酔いに懸念
きょうは明治元(1868)年10月16日です。旧幕府の榎本艦隊は、蝦夷へ向けて航海を続けています。新政府軍は東北各地の兵の撤退を進めていますが、西郷隆盛は懸念を示しています。
仙台藩を出港し蝦夷へ向かっている榎本武揚ひきいる旧幕府艦隊はきょうまでに盛岡藩の宮古湾に入り薪と水の補給のため、碇を降ろしました。
いっぽう新政府では、諸藩に対し藩兵をただちに戻し、東北や北越での戦争について、隊長を東京に派遣し報告させるか報告書を提出するよう命じました。
薩摩藩では隊長格の人物が順次東京に入り、新政府に報告をしています。
これに対し、庄内藩の降伏後、いったん東京に立ち寄った西郷隆盛は懸念を示し、「兵隊が勝利に酔って油断するのではと心配している。これは兵隊に罪はないので、油断させず、戦場の心構えを失わないよう仕向けなけらばならない」と注意を喚起しています。
いまだ新政府に恭順していない榎本武揚ら旧幕府勢力もいる中、西郷の心構えは当然のことといえます。