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道路上の「障害物」どうして?

きょうのテーマは曽於市の道路に1か月ほど前から登場したこの物体です。

車の通行をあえて妨げる障害物のようにも見えますが、その目的とは?牛島記者の報告です。

今回、「どうして?」を寄せてくれたのは、霧島市のふるさと特派員・徳吉孝洋さんです。先日、曽於市財部町の市道を車で走っていたときに、新たに赤いポールが路上に設置されているのに気づいたそうです。

市道は片側2車線ですが、車が通れる場所を1台分に狭めるように並べられています。

(德吉さん)「一瞬え?って感じでしたね。通りにくいかな?使いにくいかなって思います。隣の宮崎県に行く時に近道になる非常に便利な道なんですね。ドライバーとしては対向車がいた場合、一回停まらないといけないため不自由かなと思っています」

 


 

一見、不便にも思える道路の「障害物」。実は、設置されているのは曽於市だけではありません。

(牛島記者)「こちら鹿児島市の荒田小学校前です。こちらの通学路には道路を狭める障害物が設置されています。」

近年、全国各地で設置が進んでいるというこの障害物。実は「狭さく」と呼ばれるもので、重要な役割を果たしているのだと、交通安全の専門家は話します。

九州大学大学院(交通科学)志堂寺和則教授「1つはスピードを落とすことによって大きな事故を防ぐと。また、そういったものを設置するところは言ってみれば生活道路であると。生活道路なんだからこのあたりは少しスピードを落として走らなければいけないと、そういう気持ちが出てくる」

「狭さく」は、車の進行をあえて妨げることで、歩行者や地域の住民の安全につなげようというものなのです。
こうした取り組みが行われている道路は、「コミュニティー道路」と呼ばれ、鹿児島市でも去年から設置が始まり、来月は3件目の設置も予定されています。

志堂寺教授「必要なところはメリハリをつけて、生活道路についてはしっかりと(速度を)落とそうと、そういうふうに、歩行者保護のあるいは生活者を守るという方向に、今、政策が変わってきているというふうに思います」

 


 

しかし、曽於市で設置された「狭さく」には、また別のねらいもありました。

曽於市役所財部支所土木係 入来満課長「地元からスピードを出す大型車両が多くあり危険だったり、、路面の悪化もあって、振動も多いと。スピードを少しでも落としてもらえないかというところから、今回の工事に至った。担当のものも含めて本当にこの形でいいのかどうなのか、そこのあたりはやってみないと分からない面、不安な面も当然あって今回設置したところです。」

実はこの市道は、20年前に道路が拡幅されてからは、宮崎の都城市と霧島市を結ぶ抜け道として大型トラックなどが走るようになったのです。その通行量は、片側だけで1日におよそ240台と、県道に匹敵する量で、地元では騒音や道路の損傷などが深刻な問題となっていたのです。

 


 

近くの住民「家の中の仏壇なんかがガタガタ言って、もう私はしまった。これは普通の道路ではなく産業道路になってしまいましたよ。」

旧財部町役場 元職員・柳田純男さん「(工事後は)そのときは広くなってよかったと喜んだんですが、最近になって今度は車両が大きくなってですよね」

狭さくの近くに住む柳田純男さんは、かつて役場職員として市道の拡幅に関わりましたが、大型車の通行が増えた状況を複雑な思いで見ていたといいます。

柳田さん「道路が広くなったら相当な活気が出るんじゃないかと私も思っていたもんだから、そういう形で参加できて良かったと思っていたんですけども、近頃こんなに大型が通って地区が迷惑をするような形になれば、責任を感じるぐらいなんですよね。なんとかもうちょっと出来ないものか。」

 


 

設置から1ヶ月、突然現れた「狭さく」に、地元の反応は様々です。

狭さくを通るドライバー「最初はおかしなものをと思っていたんですけど…(狭さくで)遠くから年配の女性が来て、その方が私よりも先だったんですけど、一旦停止されて待ってらしたので、それを見て、ああ…、と。運転の初歩的なところ、自分が気をつければいいということを思い出させてくれたので。」

近くの住人「困っても仕方がないが、ハハハ。慣れないことには仕方がない。やっぱり運転手はそこでブレーキを踏んで通らんとね。気をつけて。」

各地の道路でじわりと広がる「狭さく」。単なる「障害物」ではなく、道路の安全、そして周辺の住民の暮らしを守る大きな役割を背負ったものだったのです。