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農村に移住 食と農発信する 讃井ゆかりさん

ニワトリの卵をとる讃井ゆかりさん(34)。

去年、鹿児島市から霧島市溝辺町竹子に移住しました。朝、ニワトリの卵をとるのが日課です。

鶏舎から家に戻ると早速、調理を始めます。
食卓には、とれたての卵でつくった卵かけご飯やみそ汁、ぬかづけなどが並びました。


竹子は、人口958人。山と田畑に囲まれた集落です。

讃井さんは農園を経営する萬田正治さんの家に住み込み、萬田さんらがことし開校した小規模農家を育てる私塾「霧島生活農学校」を手伝っています。
料理は、アイガモ農法で栽培した無農薬のコメをはじめ、ほとんどの食材が農園から調達したもの。讃井さんは味噌や甘酒などの原料の米麹も自分でつくります。

(萬田農園萬田正治さん)「(讃井)ゆかりさんがここに来てくれてから、こうやってつくってもらうと実感する、食と農の大切さを。」


農村に移住し、食と農の世界に飛び込んだ讃井さん。実はもうひとつの顔を持っています。
讃井さんは現役の「本場大島紬クイーン」です。県内外や海外で大島紬のPR活動をしています。

(讃井さん)「実際にクイーンと農業をやってみて、すごくかけ離れたことをしているなとは思わない、伝えたい思いはいっしょかな」

大島紬も農業も、自然の力と人の手で生み出されるもの。讃井さんは出来上がったものだけでなく、その過程にも価値があり知ってもらいたいと考えています。
讃井さんは、管理栄養士や野菜ソムリエなどの資格を持っています。4年前からは日置市で地元の大豆や麹を使ったみそづくり教室を開いています。

(参加者)「私たちも子どものころ、みそづくりとか知らずに育っているので、いっしょに体験してやってみたいと思っていた」

(讃井さん)「教室というかたちにすることによって、どう味噌が体にいいのかとか、どうして発酵文化が日本人の体に必要なのかも知っていただけますし」


以前は食品加工の会社などに勤めていた讃井さん。竹子に移住したのは、食卓を支える農業の現場を知りたいと考えたからでした。

(讃井さん)「社会人をしていると、何か同じ毎日の繰り返しというイメージがあって、でも農業って生き物が相手だし、植物が相手だし、毎日同じこともないし、毎日同じ景色もないし。農家は大変です、やっぱり」

讃井さんは農園でさつまいもやトマト、とうもろこしなどを栽培しています。
また、機械を使って稲刈りにも挑戦しました。


先日、讃井さんは「霧島生活農学校」が開いた収穫祭で講演しました。
テーマは「食の安全」。いま食卓から生産者の顔が見えづらくなっていると訴えました。

(讃井さん)「いま誰がつくったか分からないものをゴミ箱に捨てても罪悪感はないと思う、それが昔は(つくった)相手の顔を思うと全部使わないと悪いなとか、いのちを感じる時間があったと思う」

(参加者)「普段から無意識にいろいろなものを食べていたんだなと。ためになった」

農村で暮らしながら農業を学んで1年。讃井さんはいのちの大切さを学んだといいます。

(讃井さん)「いのちを感じるというのはすごく多くなった、卵ひとつをとっても、これ温めたらひよこになるのにと思うと、それを毎日いただいているというのはすごく贅沢だし、それをいただいて自分が生かされている、だから自分のいのちは大切にしないといけないとそこまで思えるのはなかなかない、そういう日々の小さなことで感謝したりとかいう時間が増えている気がする」

讃井さんは今後、農園で人が交流するカフェのオープンを計画しているほか、鹿児島産のパパイヤを使ったお菓子の開発も進めています。

(讃井さん)「わくわく感のほうが大きい、あれもしたい、これもしたい、と言っているので体が足りないかもしれない」
讃井さんはこれからも農村から「食」と「農」の価値を発信していきます。